この夏、新たな視点に出会う(気道ステント、粘液溶解薬、RA/NTM) -7月抄読会のご案内-

関東もそろそろ梅雨明けが近づき、本格的な夏の訪れを感じる7月となりました。暑さの厳しい時期ではありますが、落ち着いた環境で学びを深められるよう、下記の日程でオンライン抄読会を開催いたします。

今回も最新の知見や興味深い論文を題材に、臨床への応用を見据えたディスカッションを行う予定です。日々の診療や研究を振り返り、新たな視点や気づきを得る機会となれば幸いです。

オンライン開催のため、場所を問わず気軽にご参加いただけます。リラックスした雰囲気の中で、活発な意見交換ができればと考えております。

ご都合のつく方は、ぜひお気軽にご参加ください。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

====== 7月22日(水)19:00〜 Microsoft Teams形式======

1)高崎総合医療センター 呼吸器科 黒岩裕也先生

「悪性中枢気道狭窄に対するステント留置術の予後因子および臨床転帰」
Jia Chao Qi, et al. Prognostic factors and clinical outcomes of stenting on malignant central airway obstruction. Sci Rep. 2025.

悪性中枢気道狭窄(malignant central airway obstruction:MCAO)に対する気道ステント留置術は症状緩和やQOL改善を目的とした重要な治療法ですが、長期予後や適応患者に関するエビデンスは十分ではありません。本論文は、MCAOに対する気道ステント留置症例の臨床転帰および予後因子を後方視的に検討し、ステント留置後の生存に影響する因子を解析した研究であり、ご紹介いたします。

2)群馬大学医学部附属病院  呼吸器・アレルギー内科 竹田亮哉先生

「急性呼吸不全に対するカルボシステインおよび高張食塩水(粘液溶解薬)の有効性・安全性を検討したランダム化比較試験について」
Connolly B, Dickson N, Campbell C, et al. Carbocisteine or Hypertonic Saline for Acute Respiratory Failure. N Engl J Med. 2026. DOI: 10.1056/NEJMoa2603406.

粘液溶解薬は、喀痰喀出が困難な人工呼吸中の急性呼吸不全患者に気道クリアランス目的で経験的に広く用いられ、なかでもカルボシステインと高張食塩水が頻用されますが、有効性・安全性のエビデンスは乏しいとされています。本試験(MARCH試験)は英国71施設で行われた非盲検・2×2要因デザインの第3相RCTで、対象は同病態の重症患者1956例です。通常ケアに加えて、カルボシステイン、高張食塩水、両者併用、通常ケア単独のいずれかに割り付けられました。主要評価項目の機械換気期間はいずれの比較でも有意差がなく、死亡や再挿管にも差はありませんでした。一方、カルボシステインでは上部消化管出血が、高張食塩水では気管支収縮・低酸素血症が有意に増加しました。両薬剤とも有効性が示されず有害事象と関連しており、粘液溶解薬の有用性が低い可能性を示唆する報告です。

3)公立富岡総合病院 小宅彩花先生

「非結核性抗酸菌症における関節リウマチが呼吸器関連死亡率に与える予後への影響」
Prognostic impact of rheumatoid arthritis on respiratory-related mortality in non-tuberculous mycobacterial pulmonary disease .RMD Open. 2026 May 4;12(2):e006854. doi: 10.1136/rmdopen-2026-006854

非結核性抗酸菌症と関節リウマチの合併は日常的に経験する病態である。本研究は、関節リウマチの合併が、非結核性抗酸菌症患者の呼吸器関連死亡リスクを約4.3倍に上昇させる独立した予後不良因子であることを示した。また予後悪化メカニズムの多くが、間質性肺疾患の合併や全身性の炎症負荷によって説明されることも示した。