2024年3月の抄読会
医学生の皆様、研修医の皆様、医会員の皆様 今月の抄読会のご案内です。 医学生、研修医の皆様にもZoomでの開催のため、お気軽にご参加いただきたいと思っています。 今月の紹介論文をご案内させて頂きます。
========= 3月27日(水)19:00〜 Zoom形式===============
渋川医療センター 大貫祐史
「2016年から2021年におけるデンマーク人肺化膿症患者222例の臨床的特徴」
Vaarst JK, et al. Lung abscess: Clinical characteristics of 222 Danish patients diagnosed from 2016 to 2021. Respir Med. 2023 Jun 9;107305.
肺化膿症は複数菌による肺実質への呼吸器感染症の1つであり、時に重症化して死に至ることもあります。また、診断や治療の過程において原発性肺癌などとの鑑別は重要ですが困難なことも多く経験されます。しかし、肺化膿症に関する研究は多くはありません。今回の抄読会では肺化膿症について背景、症状、治療期間や入院期間などが紹介されている論文の発表をさせて頂きます。
群馬大学医学部附属病院呼吸器・アレルギー内科 武藤壮平
「ベンラリズマブ投与を受けた重症喘息患者におけるICSの減量(SHAMAL)
無作為化, 多施設, 非盲検, 第4相試験」
Reduction of daily maintenance inhaled corticosteroids in patients with severe eosinophilic asthma treated with benralizumab(SHAMAL):a randomized, multicentre, open-label, phase 4 study.
Jackson DJ, et al. Lancet. 2024 Jan 20;403(10423):271-281.
重症の気管支喘息では, 高用量のICSに対する反応が不良な場合もありますが, ICSの段階的増量が日常的に行われています。生物学的製剤が奏功する患者ではICSの減量が推奨されていますが, 安全性を裏付けるエビデンスは殆どありませんでした。
SHAMAL試験では, ベンラリズマブでコントロール良好な重症喘息患者に関して, ICSを大幅に削減可能であることが示されましたので紹介させて頂きます。
群馬大学医学部附属病院 三浦陽介
「”oligoprogression”を呈する乳癌または肺癌に対するSBRT追加の有用性を検討するランダム化第2相試験」
Tsai CJ, et al. Standard-of-care systemic therapy with or without stereotactic body radiotherapy in patients with oligoprogressive breast cancer or non-small-cell lung cancer (Consolidative Use of Radiotherapy to Block [CURB] oligoprogression): an open-label, randomised, controlled, phase 2 study.
Lancet 2024; 403: 171–82.
全身転移をきたしている非小細胞肺癌に対しては、通常全身薬物療法のみを行うことが一般的で、症状がない限り病変部に対し放射線治療を追加することの意義は明らかとなっておりません。今回ご紹介する論文では、初回化学療法で増悪した病変が5個以下の場合、Standard of CareにSBRTを追加することによりPFSが延長する可能性が示唆されました。この論文を通して、全身薬物療法に放射線治療を追加することの意義について考えていきたいと思います。