9月の抄読会
医学生の皆様、研修医の皆様、医会員の皆様
今月の抄読会のご案内です。
医学生、研修医の皆様にもZoomでの開催のため、お気軽にご参加いただきたいと思っています。
今月の紹介論文をご案内させて頂きます。
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8月23日(水)19:00〜 Zoom形式
群馬大学医学部附属病院 吉田佑貴
「フランスにおけるCOPD患者に処方された単回および多回吸入の3剤併用療法の使用と継続性について」
Use and persistence of single and multiple inhaler triple therapy
prescribed for patients with COPD in France: a retrospective study on THIN database (OPTI study)
Deslee G, et al. BMJ Open Respir Res. 2023 Jun;10(1):e001585.
日本呼吸器学会によるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドラインでは、過去に増悪歴があり、初期治療としてLAMA/LABA配合薬を使用しても息切れなどの症状が強く、血中好酸球が高く増悪を起こしやすい患者に対して、LAMA、LABA、ICSの3剤を併用した治療が推奨されています。従来ではICS/LABA+LAMAあるいはLABA/LAMA+ICSというような2つの吸入薬を併用した治療(MITT)が中心でしたが、2019年よりテリルジー、ビレーズトリといったICS /LABA/LAMAの3成分合剤(単回吸入3剤併用療法:SITT)が承認され、本邦でも広く使用されるようになりました。
MITTと比較して吸入器使用が簡略化されるため、持続性とアドヒアランスの改善という点で有益性が期待されますが、実際の有効性に関するリアルワールドでのエビデンスは不足しています。本論文はフランスにおけるMITTとSI TTの使用状況の評価と持続性を比較した論文であり、今後の吸入薬選択の一助となりましたらと考えご紹介させていただきます。
群馬大学医学部附属病院 板井美紀
「COPに対するステロイド維持治療における最小用量」
Minimal effective dose of maintenance steroid therapy for relapse of cryptogenic organizing pneumonia
Kenichiro Atsumi et al. Respiratory Med. 2023 Aug 19 ; ;107390.
COPはステロイド漸減の過程で再発することがあり、長期間の維持ステロイド療法が必要になることがあります。実臨床でも、どこまでステロイドを減量するか迷う場面はよくあります。再発抑制効果のあるステロイドの最小用量について、臨床でも参考になるかと思い紹介させていただきます。