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群馬大学医学部附属病院 吉田佑貴
「フランスにおけるCOPD患者に処方された単回および多回吸入の3剤併用療法の使用と継続性について」

Use and persistence of single and multiple inhaler triple therapy
prescribed for patients with COPD in France: a retrospective study on THIN database (OPTI study)
Deslee G, et al. BMJ Open Respir Res. 2023 Jun;10(1):e001585.

本研究の目的は、フランスにおけるCOPDに対するトリプルセラピーの服薬方法のうちで、単剤吸入3剤併用療法(SITT)と2つ以上の吸入製剤併用療法(MITT)の継続性とアドヒアランスを明らかにする事でした。
データベースから収集したデータを利用し、COPDの3134名の症例を対象とし、服薬アドヒアランスは観察期間中に処方が存在する日数の割合(PDC)を用いて測定されました。
喘息患者の割合はSITTと比較してMITTの患者で多く見られました(37.9 vs 47.0%)。
継続性については、最低60日間以上処方された1600人の解析では、

1) MITTではなくSITTが処方されていること
2) 専門医からの処方を受けていること
3) 中等度・重度の増悪を経験していること
4) うつ病を罹患してないこと

が継続率の上昇と関連していました。
アドヒアランスの評価については、SITTとMITTの間で相違は見られず、80%以上の患者で良好なアドヒアランスが認められました。
ただアドヒアランスの評価については、処方箋の日付けパターンからの統計解析であることで正確な評価が出来ていない可能性が示唆されていました。



群馬大学医学部附属病院 板井美紀
「COPに対するステロイド維持治療における最小用量」

Minimal effective dose of maintenance steroid therapy for relapse of cryptogenic organizing pneumonia
Kenichiro Atsumi et al. Respiratory Med. 2023 Aug 19 ; ;107390.

本研究は、特発性器質化肺炎(COP)の再発を防ぐステロイドの最小有効容量およびCOP再発の予測因子を検討することを目的とし、2009-2016年までのステロイド治療歴のあるCOP症例を対象としていました。
非再発群はステロイド治療完了後に12カ月間再発が無かった症例としていました。
全体48名のうち27名が再発群、21名が非再発群でした。2群間で、ステロイドパルスや初期PSL投与量に有意差は見られませんでした。また血液学的バイオマーカーも明らかな有意差は見られませんでした(LDH, CRP, KL-6, SP-D, ANA, RF含む)。
平均治療期間は150日前後で、2回以上再発した患者のうち3名は免疫抑制剤を使用されていました。
再発予防のためのカットオフ値はROC曲線から5mgと算出され、交絡因子となる有意なものは見られませんでした。
COP再発患者の無再発期間はPSL5mg以上と未満で分けると有意な差が見られました。
また、BALFの好酸球増多とCD4/8比上昇が再発リスクの予測因子でした。

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