2024年2月の抄読会

医学生の皆様、研修医の皆様、医会員の皆様 今月の抄読会のご案内です。 医学生、研修医の皆様にもZoomでの開催のため、お気軽にご参加いただきたいと思っています。 今月の紹介論文をご案内させて頂きます。

========= 2月28日(水)19:00〜 Zoom形式===============

渋川医療センター 村田圭祐
「膀胱癌に対するBCG膀胱内注入療法後にBCG感染症を発症するまでの時間に関するシステマティックレビュー」

Paolo Cabas, et al. BCG infection (BCGitis) following intravesical instillation for bladder cancer and time interval between treatment and presentation: A systematic review. Urol Oncol. 2021 Sep;39(2021):85-92
抄読会では毎年「自身が実臨床で冷や汗をかいたピットフォールを共有する」というテーマを掲げて論文を選定しております。今回は泌尿器科領域からの論文になりますが、膀胱癌に対してTUR-Bt後に頻用されるBCG膀胱内注入およびその合併症にクローズアップした論文です。本論文を切り口に、BCG膀胱内注入による播種性BCG感染症のリスクにつきましてみなさまに注意喚起ができたらと思っております。 実臨床では呼吸器疾患と他科疾患の併存はまれではなく、免疫抑制剤を多用する当科では他科治療との相互干渉も念頭に置かねばなりません。また呼吸器内科医として、BCG含む抗酸菌感染症、習熟して損はありません。 本発表を通じて、みなさまの明日の免疫抑制治療にチェックポイントをひとつ増やせると嬉しく思います。

前橋赤十字病院 蜂巣 克昌
「台湾で抗凝固薬投与を受けた心房細動患者における間質性肺疾患の発症」

Chan et al. Development of Interstitial Lung Disease Among Patients With Atrial Fibrillation Receiving Oral Anticoagulants in Taiwan. JAMA Netw Open. 2022 Nov 1;5(11):e2243307.
間質性肺疾患の発症に関していくつかの薬物の関連は知られていますが、抗凝固薬についての知見は多くありません。本報告は抗凝固薬を投与された患者における間質性肺疾患の発症を保険データを利用して後ろ向きに解析しております。当日は本論文に加え、当院でのデータも交えご紹介させて頂きます。

群馬大学呼吸器・アレルギー内科 前野 敏孝
「高齢者におけるmRNAベースRSVプレFワクチンの有効性と安全性」

Efficacy and Safety of an mRNA-Based RSV PreF Vaccine in Older Adults Wilson E, et al. N Engl J Med. 2023 Dec14;389(24):2233-2244.
2024年1月15日に日本初となるRSウイルスワクチンが発売となりました。高齢の方・基礎疾患を有する方は、RSウイルス感染症が重篤化する可能性があり、このRSウイルスワクチンに期待が寄せられています。今回の抄読会では、先日発売されたRSウイルスワクチンとは異なるワクチンではありますが、高齢者におけるmRNAベースRSVプレFワクチンの論文が先日NEJMに掲載されましたので、その有効性と安全性について紹介します。