抄読会へのご参加ありがとうございました

2023年11月15日 抄読会へのご参加、ありがとうございました。
抄読会の内容を振り返らせていただきます。

公立富岡総合病院 神戸 美欧
「ニューモシスチス肺炎予防目的のST合剤投与中止の原因および投与中に観察された血小板減少症について

Sulfamethoxazole-trimethoprim for pneumocystis pneumonia prophylaxis, causes of discontinuation and thrombocytopenia observed during administration: A single-center retrospective study. Hashimoto M, et al. J Infect Chemother. 2023 Oct 4:S1341-321X(23)00240-4.

2018年―2020年の3年間でPCP予防のためST合剤処方された162例が対象でした。外科、小児科、血液内科の患者、Ccr<30ml/minは除外されていました。
109例が試験期間までST合剤継続され、53例が中断されていました。
ST合剤治療を受けている間に PCP を発症した患者はいませんでした。ST合剤中止の最も一般的な原因は、血小板減少症 (37%)、肝機能障害 (20%)、および発疹 (18%) でした。 多変量解析により、血小板減少症(グレード 1 以上)が ST合剤中止と有意に関連する因子であることが明らかになりました。さらに、血小板減少症(グレード 1 以上)と相関する 3 つの要因は、年齢 50 歳以上、リンパ球数 <1000/μL、血小板数 <180,000/μL でした。これらの要因を有する症例では血小板減少を来す率が高まり、ST合剤治療の安全性と有効性を高めるには、血小板数のモニタリングが不可欠と考えられました。


前橋赤十字病院 申 悠樹
「人とすれ違った時に新型コロナウイルスに感染するリスクはいつが高いか」

Peak risk of SARS-CoV-2 infection within 5 s of face-to-face encounters: an observational/retrospective study
Takeshi Asai, et al. Scientific Reports. 2023 Oct ;13: 17520.

本研究では、すれ違ったときのCOVID感染リスクについて口から微粒子を吹き出すマネキンを作成して、マネキンと一緒に動作する自走車を作成して、レーザービームで可視化された微粒子を移動速度や吹き出す微粒子濃度に応じて測定した研究です。
時速5kmですれ違ったときの微粒子は、非換気下ではすれ違い1.3秒で最多となり、非換気下の方が換気下より微粒子を多く認めました。
非換気下ではすれ違いの検討では、速度が速ければ速いほど微粒子暴露が少なく、どのような状況でも5秒以内での暴露が認められました。
換気下でのすれ違いでは、非換気下ではすれ違いよりも発生する微粒子が多い傾向を認めました。
結論として、他者とのすれ違い5秒以内でのウイルス暴露が高い事が示唆されました。
また移動速度が速いほうが暴露する微粒子が少なくなり、換気下の方が曝露量も少ないことがわかりました。本研究からは、すれ違い時に、5秒、特にすれ違い最初の1.3秒の息止めが感染対策に有効の可能性があると考察されていました。

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