抄読会へのご参加ありがとうございました

2023年12月20日 
抄読会へのご参加、ありがとうございました。
抄読会の内容を振り返らせていただきます。

群馬大学医学部附属病院 小林夏緒
「人工呼吸器関連肺炎を予防するための吸入アミカシン」

Inhaled Amikacin to Prevent Ventilator-Associated Pnuemonia
Ehrmann S, et al. N Engl J Med. 2023 Nov 30;389(22):2052-2062.
フランスの19施設のICUにおいて、侵襲的人工呼吸器管理を72時間以上受けている成人患者を、人工呼吸器管理開始後3日目にアミカシン吸入を1日1回、3日間吸入する群と生理食塩水を吸入するプラセボ群に無作為化しました。
プライマリーエンドポイントは無作為化後8日間の追跡期間中の人工呼吸器関連肺炎の発生率で、850例が無作為化されました。
アミカシン群で15%、プラセボ群で22%で人工呼吸器関連肺炎を認め有意差があり、累積数はそれぞれ62例と95例でした。
無作為化後のVAP発生までの中央期間は、アミカシン群で10日、プラセボ群で9日でした。
ICU死亡症例数は、アミカシン群で99例(24%)、プラセボ群で112例(26%)でした。
両群間での重篤な有害事象に有意差は認めませんでした。
人工呼吸器管理開始3日目からアミカシン吸入3日間行う事で、人工呼吸器関連肺炎の予防効果が示唆されました。


前橋赤十字病院 江澤一真
「喘息に対するアルブテロール・ブデゾニド合剤のレスキュー吸入(MANDALA試験)」

Albuterol–Budesonide Fixed-Dose Combination Rescue Inhaler for Asthma
A. Papi, et al. N Engl J Med 2022; 386 : 2071-83.
 喘息増悪時にICS単剤だけでなくSABA(サルブタモールなど)の効果を評価するため、二重盲検のICS/SABAとSABA onlyとを比較評価しました。
過去12ヶ月で少なくとも1回以上の重度の喘息増悪を来した症例で、OCSを3日以上使用もしくはOCS使用後24時間以内に緊急受診、24時間以上の入院を適格基準とされていました。COPDは除外基準とされていました。

1) 高容量ICS/SABA群
2) 低容量ICS/SABA群
3) SABA単独群

の3群へ3132人が小児と成人が無作為化されました。
重度の喘息増悪リスクは高容量合剤群の方がSABA単独群よりも有意に26%低くハザートレシオ0.74で、低容量合剤群とSABA単独群とのハザードレシオは0.84でした。
副次評価項目である重度の喘息増悪の年間発症率は、合剤群とSABA単独群でそれぞれ0.48、0.6でした。
以上より、喘息症状出現時のSABA単独治療よりもICS/SABAの合剤治療が喘息増悪リスクを軽減させる事が示されました。


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