暑さにも雨にも負けず学ぶ! ー 臨床につながる最新知見をオンラインでー5月抄読会のご案内ー
暑さを感じる日や雨模様の日も増え、季節の移ろいを感じる頃となりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
本抄読会では、分野横断的な最新知見や興味深いテーマを取り上げ、臨床への応用を目指してディスカッションを行います。
日々の診療や研究につながる新たな視点を得られる機会となれば幸いです。
今回もオンライン開催となりますので、ご都合のつく方はぜひお気軽にご参加ください。
皆さまと活発な意見交換ができますことを、心より楽しみにしております。
====== 5月27日(水)19:00〜 Microsoft Teams形式======
1)群馬大学医学部附属病院 矢冨 正清先生
「間質性肺疾患患者の急性増悪期における日常的な身体活動の予測因子としての30秒椅子立ち上がりテスト」
Tajima, Shinya, et al. “The 30-second sit-to-stand test as predictor of daily physical activity during acute exacerbation in patients with interstitial lung disease.” ERJ Open Research 12.1 (2026): 00729-2025.
間質性肺炎の新規治療薬の出現が期待されている中で、ユニークな研究論文を紹介させていただきます。間質性肺疾患(ILD)の急性増悪は、呼吸機能のみならず身体機能や日常生活動作(ADL)を急速に低下させます。しかし、急性期には低酸素血症のため、6分間歩行試験のような従来の運動機能評価を安全に実施しにくい状況も少なくありません。本論文では、そのような臨床状況において、30秒間立ち上がりテスト(30-s STS)という簡便で低負荷な身体機能評価が、呼吸器疾患特異的ADL指標であるNRADLをどの程度予測できるかを検討しています。研究では、急性増悪を呈したILD患者において、30-s STSの回数が少ないほどNRADLスコアが低く、30-s STSが日常生活活動の独立した予測因子となることが示されました。一方で、KL-6値や全身性炎症マーカーは、30秒STSの成績と有意な相関を示しませんでした。
本研究は、単施設・小規模研究ではありますが、急性期のILD患者に対する実用的な身体機能評価法という観点から、リハビリテーションや病棟での機能評価に直結する示唆を与える内容です。30-s STSの臨床的有用性、安全性、他の身体機能評価との位置づけ、今後の研究課題について議論したいと思います。
2)群馬大学医学部附属病院 山口 公一先生
「抗合成酵素症候群とシェーグレン病重複例における間質性肺炎の臨床的・分子学的特徴」
Y. Zhang, et al. Clinical, immunological and transcriptomic features of interstitial lung disease in patients with overlapping anti-synthetase syndrome and Sjögren’s disease. Rheumatology. 2025.
抗合成酵素症候群(ASyS)とシェーグレン病(SjD)はいずれも間質性肺炎(ILD)を合併するが、両者の重複例(ASyS-SjD)の位置づけは明確でない。本研究ではASyS、SjDおよびASyS-SjDを比較し、臨床所見、血清学的所見、画像所見に加え、RNAシークエンスによるトランスクリプトーム解析(細胞内でどの遺伝子がどの程度働いているかを網羅的に調べる手法)を行っている。ASyS-SjDは臨床的にはASySに近い一方で、線維化関連経路の活性化など独自の分子学的特徴を示した。単なる合併ではなく、独立したサブタイプである可能性が示唆される。
3)群馬大学医学部附属病院 吉田 大祐先生
「腸内細菌叢による腫瘍免疫微小環境の調節が、進行非小細胞肺癌に対する二重免疫チェックポイント阻害療法を最適化する」
Y. Katayama et al., Gut microbiome-driven modulation of the tumor immune microenvironment optimizes dual checkpoint blockade in advanced NSCLC. ESMO Open. 2026 Mar;11(3):106077.
進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対する免疫チェックポイント阻害療法において、腸内細菌叢が治療効果に影響する可能性が近年注目されているそうです。本論文は、国内でipilimumab+nivolumab療法を受けた進行NSCLC患者を対象に、治療前の腸内細菌叢と腫瘍免疫微小環境の関連を前向きに解析したものです。短鎖脂肪酸産生菌や腸内細菌叢の多様性が、PD-1陽性CD8 T細胞の腫瘍浸潤と関連することで免疫療法を効果的にしている可能性が示されています。患者さんに対して「肺癌治療の点滴の効果をあげるためにお腹に良い食べ物を摂るといいですよ」と言える根拠になるかも知れません。

