2025年7月の抄読会
医学生の皆様、研修医の皆様、医会員の皆様
今月の抄読会のご案内です。 医学生、研修医の皆様にもオンラインでの開催のため、お気軽にご参加いただきたいと思っています。 今月の論文紹介をさせていただきます。
====== 7月23日(水)19:00〜 Microsoft Teams形式======
1)群馬大学医学部附属病院 呼吸器・アレルギー内科 黒岩裕也先生
「免疫チェックポイントを含む術前補助化学療法を受けた非小細胞肺癌のリアルワー ルドの長期転帰について」
Zhou Bolun, et al. Real-world long-term outcomes of non-small cell lung cancer
patients undergoing neoadjuvant treatment with or without immune checkpoint
inhibitors. Chin Med J (Engl). 2025.
近年肺癌の周術期治療において免疫チェックポイント阻害剤(ICI)が用いられるようになってきています。特に術前治療として化学療法+ICI療法の有効性が期待されておりますが、まだリアルワールドのデータは十分ではありません。今回非小細胞肺癌に対する術前治療としてICI併用化学療法と、化学療法単独との比較を行った後ろ向き観察研究について報告した論文をご紹介いたします。
2)伊勢崎市民病院 呼吸器内科 竹田 亮哉先生
「肺機能と皮膚線維化の変化はSSc関連間質性肺疾患の生存予測因子となる」
Vincent Sobanski, et al.Lung function and skin fibrosis changes as predictors of survival in
SSc-associated interstitial lung disease: a EUSTAR study. Rheumatology, 2025, 00, 1–10
全身性強皮症(SSc)に合併する間質性肺疾患(ILD)は、SSc患者において最も頻度の高い死因の一つです。SSc患者の50~70%にILDを発症し、約30%がこれにより命を落とすと報告されています。しかし、ILDの経過は多彩であり、全く進行しない症例から、数年の経過で緩徐に進行し、呼吸不全に至る症例まで幅広いです。したがって、進行のリスク因子を評価し、適切に治療介入をすることが重要と考えられます。そこで今回は、SScに関連するILDにおいて、肺機能、皮膚線維化、指潰瘍の変化が死亡率の予測因子となるかを評価した論文を紹介いたします。
3)群馬大学附属病院 呼吸器・アレルギー内科 小宅 彩花先生
「ABPAにおける治療抵抗性スコア」
Tanaka J, et al. Clinical Characteristics of Difficult-To-Treat Allergic Bronchopulmonary Aspergillosis and Its Prediction Score. Allergy. 2025 May 2. doi: 10.1111/all.16559.
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)は、気管支内に定着した真菌、主にAspergillus fumigatusに対する免疫応答により発症するアレルギー性気道疾患です。標準治療は中等量の経口ステロイド・アゾール系抗真菌薬を4〜6か月間投与することですが、治療抵抗性の症例も一定数存在します。本研究では、標準治療により寛解に至らなかった難治性ABPAの臨床的特徴を明らかにし、その予測スコアの検証を行いました。