2024年1月の抄読会
医学生の皆様、研修医の皆様、医会員の皆様 今月の抄読会のご案内です。 医学生、研修医の皆様にもZoomでの開催のため、お気軽にご参加いただきたいと思っています。 今月の紹介論文をご案内させて頂きます。
==================== 1月24日(水)19:00〜 Zoom形式=========================
渋川医療センター 横田 暢
「BACESスコアに基づく肺MAC症における自然培養陰性化率」
Bo-Guen Kim, et al. Spontaneous Cultural Conversion Rate of Mycobacterium avium Complex Pulmonary Disease Based on BACES Severity. Journal of Clinical Med. 2023 Nov 16;12(22):7125.
非結核性抗酸菌症は近年有病率が上昇しており注目すべき疾患となりつつあるにも関わらず、治療選択肢が少なく、治療に難渋する例がしばしば経験されます。その一方で自然寛解に至る例もあることや、死亡率は高くはないこともあり、積極的に介入されているとは言い難い側面もあります。治療開始に関する指針は2020年のATS/ERS/ESCMID/IDSA合同ガイドラインで明記されましたが、経過観察で改善が見込める症例の予測因子は未だ明らかにされていません。
今回の抄読会では自然培養陰性化を達成し得る予測因子としてBACESスコアを用いた論文を紹介します。
高崎総合医療センター 小林頂
「気管支鏡検査中のミダゾラムと比較したレミマゾラムの安全性と有効性:単一施設のランダム化対照研究」
Kim et al., Scientific Reports. 2023. 13;20498
レミマゾラムは超短時間作用型ベンゾジアゼピンであり、ミダゾラムよりも消失半減期が短く、回復時間も早く優れた鎮静剤ですが、気管支鏡検査時の安全性と有効性を評価した研究は限られています。気管支鏡は侵襲性が高い検査であり、適切に鎮静を行うことは患者および検査にとって大切です。本試験では、レミマゾラムとミダゾラムの鎮静効果、副作用等を比較した試験です。
今後、気管支鏡に際してレミマゾラムの使用を検討する機会となればと思い紹介させていただきます。
前橋赤十字病院 神宮飛鳥
「EGFR変異またはALK融合遺伝子陽性の既治療非小細胞肺癌を対象とした,アテゾリズマブ,ベバシズマブ併用化学療法(ABPC療法)の効果を検証した無作為化第3相試験」
Park S, Kim TM, Han JY, et al. Phase III, Randomized Study of Atezolizumab Plus Bevacizumab and Chemotherapy in Patients With EGFR- or ALK-Mutated Non-Small-Cell Lung Cancer (ATTLAS, KCSG-LU19-04). J Clin Oncol. Published online October 20, 2023.
EGFR変異等の遺伝子変異陽性肺癌患者に対して,TKI治療後には化学療法を実施することになるが,遺伝子変異陽性の方に対するICI治療効果は今のところ限定的なエビデンスしかない状況である.IMpower150試験のサブグループ解析では,ABPC療法を受けた遺伝子変異陽性患者群でOS,PFSともに良好な成績を示した.
今回,TKI治療抵抗性となった非小細胞肺癌に対して,ABPC療法と従来のCDDP/CBDCA+PEM療法で比較検証をした初の無作為第3相試験が実施されたため,今後の治療方針決定の一助になればと思い紹介させていただきます.