7月の抄読会
医学生の皆様、研修医の皆様、医会員の皆様
今月の抄読会のご案内です。
医学生、研修医の皆様にもZoomでの開催のため、お気軽にご参加いただきたいと思っています。
今月の紹介論文をご案内させて頂きます。
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7月26日(水)19:00〜 Zoom形式
1)公立藤岡総合病院 黒岩裕也
「COPD急性増悪におけるレボフロキサシンの2日間治療と7日間治療の比較RCT」
Messous S, et al. Two-day versus seven-day course of levofloxacin in acute COPD exacerbation: a randomized controlled trial. Ther Adv Respir Dis. 2022 Jan-Dec;16:17534666221099729.
COPD急性増悪に対して一般的には5~10日間程度の抗菌薬治療が行われることが多いですが、抗菌薬による有害事象リスク、また耐性菌の出現リスク低下、医療経済的にも、より短期間の抗菌薬投与についての検討が必要です。今回のRCTではLVFXの2日間投与は7日間投与に対して治癒率やICU入室率、1年後の再増悪率等において非劣勢であることが示されました。COPDはCommon diseaseであり日常診療に活かせたらと思いご紹介させていただきます。
2)公立富岡総合病院 竹原和孝
「膠原病肺におけるクライオの意義」
Can transbronchial lung cryobiopsy benefit adaptive treatment strategies in connective tissue disease-associated interstitial lung disease?
Yamakawa et al. BMC Pulmonary Medicine (2023) 23:126
INBUILD試験でnon IPFのPF-ILDに対してNintedanibが使用可能となっていますが、CT-ILDを含めたnon IPFのILDに対して抗炎症薬と抗線維化薬の使い方については不明な点が多いのが現状です。本論文はクライオバイオプシー(TBLC)を用いることでその判断の材料できる可能性について示唆しているため、紹介させていただきました。
3)群馬大学医学部附属病院 砂長 則明
「COVID-19感染による自己免疫性疾患発症リスク」
Chang R, et al. Risk of autoimmune diseases in patients with COVID-19: A retrospective cohort study. EClinicalMedicine. 2023 Feb;56:101783
COVID-19感染症が令和5年5月8日に5類感染症に移行してから2ヶ月が経ちますが、全国的に感染数は増加傾向にあり、COVID-19感染症に対応する機会はしばらく減りそうにありません。COVID-19感染症においては炎症が長期間持続する場合があり、いわゆるCOVID-19感染症の後遺症「Long COVID」の発症率は25〜60%とされています。今回紹介する論文は2020年1月から2021年12月までに登録された3,814,479人(COVID-19群:888,463人, コントロール群:2,926,016人)を対象とした後方視的研究であり、COVID-19感染後に様々な自己免疫性疾患のリスクが高まることが報告されています。呼吸器疾患の診療において示唆に富む論文と考え、ご紹介させていただきます。