抄読会へのご参加ありがとうございました。
20230426 抄読会へのご参加、ありがとうございました。
抄読会の内容を振り返らせていただきます。
1)群馬大学医学部附属病院 腫瘍センターの櫻井麗子先生からは胸部悪性腫瘍への癌ゲノム医療についての論文をご紹介いただきました。
癌の治療は、癌の遺伝子情報がわかると癌の性質がわかるという概念に基づいて、分子標的薬を使用するフローが出来上がって来ています。つまり癌の個別化医療(ゲノム医療)が確立してきています。
本研究では、悪性胸部疾患患者を63人対象とし、最終的に60人が対象となりました。
腺癌33例、扁平上皮癌10例、NOS3例、SCLC6例、胸腺癌6例、胸腺腫1例、悪性胸膜中皮腫1例
検体は気管支鏡で15例、リキッド(血液)で10例も含まれていました。
多い変異は
TP53(30%)
CDKN2A(27.3%)
EGFR(23.6%)
RB(23.6%)
CDKN2B(16.4%)
MTAP(14.5%)
でした。
6例、10%でevidence levelA1の保険適応の分子標的薬が提示されました。
乳癌に適応のあるエンハーツ(トラスツズマブデルツテカン)が3例に認められました。
4例で、PCR法で検出されなかったEGFR変異が検出されていました。全ての症例はケモ開始2年以上経過していました。
小細胞肺癌でTMB highが6例中4例で認められ、ペムブロリズマブの保険適応でした。
EGFR-TKI耐性例で4人中2人でMETex.14skippingが検出されました。
Limitaionは単施設で症例数が少なく、後ろ向き研究であったことでした。
また当院のこれまでの群馬大学の癌ゲノム外来では、96例がエキスパートパネルに到達しています。
6.3%が次の治療へ到達しています。
今後のゲノム外来の良い適応は、
・治療レジメンが進んで若くてPSが良く臨床試験に入れそうな方
・遺伝子異常がありそうでも検出されなかった方
・オンコマイン検査などで保険適応でない変異があった方
・胸腺癌や悪性胸膜中皮腫、胸部病変の原発不明癌
などが当院のゲノム外来の良い適応症例と思われます。
2)群馬大学医学部附属病院 呼吸器・アレルギー内科 古賀康彦からは、第3の抗線維化薬として期待されるPDE4 inhibitorの特発性肺線維症に対するフェーズ2臨床試験の研究成果が紹介されました。
対象は約150名のIPF患者さんが実薬:プラセボ群に2:1に割り振られました。
また前治療の抗線維化薬治療がある群と無い群にわけられていました。
プライマリーエンドポイントは治療開始12週後のFVCの低下でした。
結果は、治療開始12週目までFVCの低下を実薬群では認めませんでした。
拡散能は背景に抗線維化薬治療ない群ではプラセボと共に低下を認めず、前治療の抗線維化薬治療がある群では、実薬群のみ拡散能は低下しませんでした。
主な有害事象は胃腸障害であり、下痢が最も多く、下痢の有害事象は前治療が無い群(17%)で、抗線維化薬治療が入っている群(31%)の方が多く認められました。
結果として、PDE4B inhibitorは特発性肺線維症のFVCの低下を12週間にわたって抑制していました。
来月の抄読会は、5月24日(水)19時〜です。よろしくお願いいたします。 古賀康彦
