12月21日抄読会につきまして
医学生の皆様、研修医の皆様、医会員の皆様
皆様におかれましては、大変忙しい日々かと思いますが、今月も抄読会を定期開催させていただきます。
医学生、研修医の皆様にもZoomでの開催のため、お気軽にご参加いただきたいと思っています。
今月の紹介論文をご案内させて頂きます。
1)富岡総合病院 原田 航先生
「潰瘍性大腸炎関連肺疾患の罹患率,特徴,臨床経過,リスク因子」
Incidence, Characteristics, Clinical Course, and Risk Factors of Ulcerative Colitis-related Lung Diseases.
CHEST 2022; 162(6):1310-1323.
潰瘍性大腸炎は様々な消化管外病変を合併することが知られています.潰瘍性大腸炎関連肺疾患(UC-LD)は臨床現場でしばしば遭遇しますが,不明な点が多いのが現状です.
今回本邦にて563名の潰瘍性大腸炎患者に対して後ろ向き調査を行い,UC-LDの罹患率,特徴,臨床経過,リスク因子について報告した論文を紹介させていただきます.
2)前橋赤十字病院 江澤 一真先生
「経気管支肺凍結生検(TBLC)における臨床的に重要な合併症のリスク因子」
Minna M, et al. Risk factors of clinically significant complications in transbronchial lung cryobiopsy: A prospective multi-center study. Respiratory Medicine 200 (2022) 106922.
TBLC(通称:クライオ)は2017年に本邦で薬事承認された気管支鏡生検の新しい技術で,通常の経気管支肺生検(TBLB)より大きな組織を採取することができ,特に間質性肺疾患(ILD)の診断がつきやすくなった.しかし一方で,組織を大きく取るためTBLBよりも気胸や出血といった合併症のリスクが高くなっている.
本論文はこういった合併症を起こしやすいリスク因子について調べた研究であり,それについて今回紹介したい.
3))群馬大学医学部附属病院 原 健太郎先生
「IPF急性増悪に対するステロイド早期減量について」
Early corticosteroid dose tapering in patients with acute exacerbation of idiopathic pulmonary fibrosis
Anan et al. Respiratory Research (2022) 23:291
特発性肺線維症急性増悪に対するステロイド漸減に関してはコンセンサスがないが,本研究では早期減量(入院後2週間以内で10%以上の減量)をおこなった群で予後が良い傾向があった.