抄読会へのご参加、ありがとうございました。

20221130 抄読会へご参加いただき、ありがとうございました。

抄読会の内容を振り返らせていただきます。

1)桐生厚生総合病院 竹原 和孝先生からは、PF-ILDに対するニンテダニブの安全性と忍容性について(INBUILD試験)の論文についてご紹介いただきました。
進行線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)に対するINBUILD試験にて、ニンテダニブ投与群332人、プラセボ群331人が登録されました。有害事象による治療中止はニンデダニブ群で22%、プラセボ群で14.5%であり、最も多い有害事象は下痢(72.3%)でした。下痢による治療中断は6.3%であり、一段階以上の減量や中断は48.2%に認められました。重篤な有害事象は44.3%に認められました。嘔気・嘔吐、減量は女性に多く認められました。有害事象のプロファイルはIPFに対して行ったINPULSIS試験や強皮症肺に対して行ったSENSCIS試験と同様でした。52週時点での中止率もほぼINBUILD試験とINPULSIS試験ではほぼ同様でした。52週時点での1段階以上の減量はINPULSIS試験が一番少ない状況でした。
また、Cellsにacceptされた論文「Differential Discontinuation Profiles between Pirfenidone and Nintedanib in Patients with Idiopathic Pulmonary Fibrosis.」についてもご発表いただき、群馬県内の各施設でのIPF治療の現状についてのまとめをご発表いただきました。

2)前橋赤十字病院 申 悠樹先生からは、重症COVID-19肺炎の入院患者に対するステロイドパルス療法についての論文をご紹介いただきました。
重症COVID-19肺炎患者(人工呼吸器管理は除外)304人を対象とした他施設ランダムダブルブラインド試験において、ステロイドパルス群とプラセボ群(標準デキサメサゾン治療群)について評価しました。ステロイドパルス群の75.4%、プラセボ群75.2%はランダム化後30日以内に酸素投与なしで退院し、退院までの中央値(15日間v.s.16日間)、挿管やICU入室率(20% v.s.16.1%)、死亡率(10% v.s.12.2%)にも有意差は認められませんでした。中等症2のCOVID-19肺炎に対するステロイドパルス療法は標準デキサメサゾン治療と比べbenefitがないとの報告をご発表いただきました。

3)群馬大学医学部附属病院 神戸 美欧先生からは、気管支拡張症患者における大量喀血のリスク因子についての論文をご紹介いただきました。
2014年1月~2021年6月まで379人の気管支拡張症患者をレトロスペクティブに解析しており、16.09%に重篤な喀血を認めました。多変量解析では、糖尿病、2葉以上の病変が有意なリスク因子でした。発症から1~5年以内、左下葉病変は有意に喀血を起こしづらく、一方右上葉病変は他病変と比べ有意に起こしやすかったとの報告でした。糖尿病は肺血管系への影響や、感染を合併しやすいといった影響が関与するものと考えられたとの報告をご発表いただきました。

来月の抄読会は、12月21日(水)19時〜です。よろしくお願いいたします。