抄読会へのご参加、ありがとうございました。
HP更新があり、入力した内容が確認できなくなっておりました。大変失礼いたしました。
20220928 抄読会へご参加いただき、ありがとうございました。
抄読会の内容を振り返らせていただきます。
1)高崎総合医療センターの板井先生からは、オシメルチニブ耐性獲得のメカニズムについての論文をご紹介いただきました。
EGFR依存性オシメルチニブ耐性メカニズムとしてT790Mがあげられ、その他C797変異、G796変異、 L792変異、 L718変異、 G719変異、G724変異、exon 20変異、EGFR ampがあげられます。EGFR非依存性耐性メカニズムとしてMET amplification, HER2 amplification, RAS–MAPK pathwayの活性化, PI3K pathwayの活性化、Cell-cycle gene alterations, Oncogenic fusions, 形質転換などがあげられます。それぞれのメカニズムに応じた新たな治療戦略や今後の展望についてのreviewをご報告いただきました。
2)群馬大学医学部附属病院の吉田先生からは、特発性肺線維症と偶然診断された患者さんの転帰についての論文をご紹介いただきました。
他の疾患の診察中に偶然IPFと診断された患者を含め、IPFと偶然診断された患者の有病率、臨床経過、予後因子についての報告であり、9年間でIPFと診断された107人のうち、偶然IPFと診断されたのは35人(32%)であり、内18人は検診で、17人は他疾患フォロー中でした。偶発的に診断された群では診断からの生存期間中央値は4.9年、有症状群では3.9年であり、有意差は認められませんでした(p=0.13)。偶発的に診断された群では、BMIが独立した予後予測因子であるとの報告でした。
2)群馬大学医学部附属病院の古賀先生からは、吸入Galectin-3阻害剤のCOVID-19肺炎に対するフェースI/II無作為臨床試験についての論文をご紹介いただきました。
Galectin-3は線維化疾患のみならず急性冠疾患や悪性腫瘍においても重要な役割を果たし
ていることが知られてきており、昨年の抄読会にて特発性肺線維症に対するGalectin-3(Gal-3)吸入阻害剤のPhase I/II試験をご紹介いただいておりました。今回のCOVID-19肺炎に対するPhase I/II試験では、2020年9月〜2021年2月までの入院を要するCOVID-19肺炎患者43名がGal-3吸入阻害剤の有無に無作為に割り付けられ、入院期間や死亡率では、Gal-3吸入阻害剤群の優越性は示されませんでしたが、Gal-3吸入阻害剤群において血中のGal-3は有意に減少し、CRPやLDHの回復ならびに白血球像の回復も対照群と比して優れていました。さらにD-dimerも一貫して対照群と比してGal-3吸入阻害剤群では低い値でした。Gal-3吸入阻害剤は認容性・安全性に優れており今後、特発性肺線維症のみならず線維化をもたらす肺炎疾患への治療効果が期待されるとの報告でした。
来月の抄読会は、10月26日(水)19時〜です。よろしくお願いいたします。