竹原和孝先生の論文紹介です
公立富岡総合病院の竹原和孝先生が、当科関連病院の連携を駆使した多施設共同臨床研究の成果をcellsに報告しました。
「Differential Discontinuation Profiles between Pirfenidone and Nintedanib in Patients with Idiopathic Pulmonary Fibrosis」
Kazutaka Takehara,Yasuhiko Koga*, Yoshimasa Hachisu, Mitsuyoshi Utsugi, Yuri Sawada, Yasuyuki Saito, Seishi Yoshimi, Masakiyo Yatomi, Yuki Shin, Ikuo Wakamatsu, Kazue Umetsu, Shunichi Kouno, Junichi Nakagawa, Noriaki Sunaga, Toshitaka Maeno, and Takeshi Hisada
cells (Basel). 2022 Jan.11(1):143.
竹原先生からの論文の紹介になります。
特発性肺線維症に対する抗線維化薬治療の治療中断に関するリアルワールドデータを、当科の関連病院のお力を借りてまとめた研究です。公立富岡総合病院、前橋赤十字病院、利根中央病院、桐生厚生病院、伊勢崎市民病院、群馬大学医学部附属病院で治療を受けた283例の解析を行いました。
2つある抗線維化薬のうち、ピルフェニドン群とニンテダニブ群の治療中断率はほぼ同等でした。しかしながら、ピルフェニドン群は原疾患の進行で中断する率が高い一方でニンテダニブ群では下痢や肝障害などの有害事象で治療中断をされている率が高いのが特徴でした。さらに両群の生存期間はほぼ同等でした。
ピルフェニドン群において原疾患の進行を止めるさらなる手段は期待できないものの、ニンテダニブ群の有害事象に対しては、予防対策や定期的なフォローを行う事で治療中断を抑えてより優れた予後延長効果が期待される研究結果かと考察しております。
今回の臨床研究の症例データ収集にご協力いただきました、地域中核病院の諸先生方にこの場を借りて深謝致します。