9月28日抄読会につきまして
医学生の皆様、研修医の皆様、医会員の皆様
皆様におかれましては、大変忙しい日々かと思いますが、今月も抄読会を定期開催させていただきます。
医学生、研修医の皆様にもZoomでの開催のため、お気軽にご参加いただきたいと思っています。
今月の紹介論文をご案内させて頂きます。
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9月28日(水)19:00〜 Zoom形式
1)群馬大学医学部附属病院 古賀康彦先生
「吸入Galectin-3阻害剤のCOVID-19肺炎に対するフェースI/II無作為臨床試験」
Gaughan et al. et al. An inhaled galectin-3 inhibitor in COVID-19 pneumonitis (DEFINE): a phase Ib/IIa randomised controlled trial 2022.
Am J Crit Care Med.
Galectin-3は線維化疾患のみならず急性冠疾患や悪性腫瘍においても重要な役割を果たしていることが知られてきています。昨年私は、特発性肺線維症に対するGalectin-3(Gal-3)吸入阻害剤のPhase I/II試験の結果をご紹介いたしました。今年はGalectin-3阻害剤のCOVID-19肺炎に対するPhase I/II試験の結果をご紹介いたします。
2020年9月〜2021年2月までの入院を要するCOVID-19肺炎患者43名がGal-3吸入阻害剤の有無に無作為に割り付けられました。Gal-3吸入阻害剤は認容性・安全性に優れていました。入院期間や死亡率では、Gal-3吸入阻害剤群の優越性は示されませんでした。しかしながら、Gal-3吸入阻害剤群において血中のGal-3は有意に減少し、CRPやLDHの回復ならびに白血球像の回復も対照群と比して優れていました。さらにD-dimerも一貫して対照群と比してGal-3吸入阻害剤群では低い値でした。Gal-3吸入阻害剤は認容性に優れており今後、特発性肺線維症のみならず線維化をもたらす肺炎疾患への治療効果が期待されます。
2)高崎総合医療センター 板井美紀先生
「オシメルチニブ耐性獲得のメカニズムについて」
Alessandro Leonetti, et al. Resistance mechanisms to osimertinib in EGFR-mutated non-small cell lung cancer.
British Journal of Cancer (2019) 121:725–737
EGFR変異陽性のNCSLCにおいて、オシメルチニブは優れた治療効果を持ちますが、耐性獲得後はレジメンの選択に迷うことや治療に難渋することが多々あります。
本論文はオシメルチニブ耐性獲得のメカニズムについてのレビューです。耐性後の治療戦略や今後の展望についても触れています。EFGRやその遺伝子変異について、私自身理解が不十分な点が多いため本論文を選択しました。勉強になりましたのでご紹介いたします。
3)群馬大学医学部附属病院 吉田佑貴先生
「特発性肺線維症と偶然診断された患者さんの転帰:どの程度早い段階で患者を特定すべきか?」
R Yamazaki, et al. Outcome of patients who were incidentally diagnosed with idiopathic pulmonary fibrosis: How early in the disease should we identify patients?
Respiratory Medicine 201 (2022) 106933
特発性肺線維症(IPF)は、原因不明の致死的かつ進行性の線維性間質性肺炎です。IPF患者のほとんどは診断時に咳や労作時の呼吸困難などの症状を有することが多いですが、一方で毎年の健康診断で偶然にIPFと診断される方もいます。これらの方は無症状であることが多いですが、このように偶然診断されたIPF患者は、疾患の最も初期の段階に相当するのか、あるいは症状のある患者のIPFとは本質的に異なるのかは不明です。さらに、偶発的に診断されたIPF患者の予後も確立されていません。今回は、他の疾患の診察中に偶然IPFと診断された患者を含め、IPFと偶然診断された患者の有病率、臨床経過、予後因子についての報告を紹介させていただきます。