6月22日の抄読会につきまして

医学生の皆様、研修医の皆様、医会員の皆様

皆様におかれましては、大変忙しい日々かと思いますが、今月も抄読会を定期開催させていただきます。

医学生、研修医の皆様にもZoomでの開催のため、お気軽にご参加いただきたいと思っています。
今月の紹介論文をご案内させて頂きます。

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6月22日(水)19:00〜 Zoom形式

1)伊勢崎市民病院 豊田正昂

「SLEによる胸水と他の鑑別における、胸水中の抗核抗体陽性および補体価の有用性について」

ANA positivity and complement level in pleural fluid are potential diagnostic markers in discriminating lupus pleuritis from pleural effusion of other aetiologies
Der-Yuan Chen, et al. Lupus Sci Med. 2021 Nov;8(1):e000562

胸膜炎は、全身性エリテマトーデス(SLE)の最も一般的な肺症状です。本論文では、SLEによる胸水とその他の病因による胸水を区別する際に、胸水中の様々なバイオマーカーを比較することを目的としております。胸水貯留には、感染や悪性胸水など複数の原因があり、SLEを鑑別する際に、胸水中の抗核抗体陽性及び補体価が役立つ可能性について検討しております。簡単ではありますが、今後の診療の参考にできればと思い、本論文を紹介させていただきます。

2)群馬大学医学部附属病院 若松郁生

「悪性胸膜中皮腫に対する術中胸腔内温熱化学療法(HITHOC)について」
Hyperthermic Intrathoracic Chemoperfusion for Malignant Pleural Mesothelioma: Systematic Review and Meta-Analysis
Cancers (Basel). 2021 Jul; 13(14): 3637.

Ⅰ~Ⅲ期の悪性胸膜中皮腫に対する術中胸腔内温熱化学療法(HITHOC)は、術後の予後改善が示唆されているものの、現在までエビデンスに乏しく、ガイドラインにおいても推奨度決定不能となっています。本研究では、2021年1月までのHITHOCに関する研究の統計的レビューを行い、メタ解析によってHITHOCが統計学的に有意なOS延長効果を持っていることを確かめ、さらに組織型による差や有害事象についても報告しています。悪性胸膜中皮腫に対する術中HITHOCの位置づけや、具体的な治療方法(使用薬剤・温度設定・時間)等も併せてご紹介します。

2)群馬大学医学部附属病院 鶴巻寛朗

「重症気管支喘息におけるmepolizumab投与中止vs投与継続について(COMET study)」

Stopping versus continuing long-term mepolizumab treatment in severe eosinophilic asthma (COMET study). Moore WC et al. Eur Respir J. 2022 Jan 6;59(1):2100396.

重症気管支喘息に対する生物学的製剤として、日本ではOmalizumab(抗IgE抗体)、Mepolizumab(抗IL-5抗体)、Benralizumab(抗IL-5Rα抗体)、Dupilumab(抗IL-4Rα抗体)の4薬剤が使用可能です。いずれも臨床試験において喘息増悪を抑制し、全身ステロイドを減量することが報告されており、実臨床においてもその効果が実感できます。一方で、これらの生物学的製剤はいずれも高額であり、患者さんからは生物学的製剤を中止することは可能なのか、中止したらどうなるのかと言った質問を受けることがあります。しかし、これまでは、この質問に答えるための材料は少ないのが現状でした。2022年になりこの質問に答えるための材料の一つとなる論文がEuropean Respiratory Journalに掲載されました。今回の抄読会では、3年以上Mepolizumabを投与された重症好酸球性喘息の患者さんをプラセボ群とMepolizumab群に無作為に分けて、初回増悪までの期間を評価したCOMET studyを紹介したいと思います。