6月28日抄読会につきまして
医学生の皆様、研修医の皆様、医会員の皆様
今月の抄読会のご案内です。
医学生、研修医の皆様にもZoomでの開催のため、お気軽にご参加いただきたいと思っています。
今月の紹介論文をご案内させて頂きます。
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6月28日(水)19:00〜 Zoom形式
① 伊勢崎市民病院 豊田正昂
重症市中肺炎に対するヒドロコルチゾン
Hydrocortisone in Severe Community-Acquired Pneumonia
Dequin PF, et al. N Engl J Med. 2023 May 25;388(21):1931-1941
市中肺炎は、当科で診療にあたる最も多い疾患の一つであり、通常、原因菌を同定し、抗菌薬治療行うことになります。成人肺炎診療ガイドライン2017では、市中肺炎治療において、抗菌薬投与に併用する全身投与ステロイド薬に関して、併用しないことを弱く推奨されていますが、重症例においては、併用することを弱く推奨されています。本論文は、重症市中肺炎に対してのステロイド投与の有効性が検討されており、今後の診療の参考にできればと思い、本論文を紹介させていただきます。
② 群馬大学医学部附属病院 若松 郁生
「人工知能が特発性肺線維症と他の間質性肺疾患を鑑別する」
A comprehensible machine learning tool to differentially diagnose idiopathic pulmonary fibrosis from other chronic interstitial lung disease」
DOI: 10.1111/resp.14310
名古屋大学医学部附属病院と理化学研究所は、IPFを診断するAIを開発しました。IPFの診断にはVATSや、呼吸器内科、放射線科、病理診断科による多職種合議(MDD)が推奨されていますが、開発されたAIではHRCT、肺機能検査、血液検査、身体所見などの非侵襲的データを用い、MDDと同等のIPF診断率が得られました。医療用AIの発展は目覚ましく、呼吸器の分野ではレントゲンや胸部CTにおいて画像診断支援システムの導入が進んでおり、富士フィルムやエルピクセルが販売している商品なども併せて紹介します。
③ 群馬大学医学部附属病院 鶴巻 寛朗
Type2-low 重症喘息コホートにおける増悪プロファイルとリスクファクター:喘息増悪の表現型を評価するための臨床試験
McDowell PJ et al. Exacerbation Profile and Risk Factors in a Type-2-Low Enriched Severe Asthma Cohort: A Clinical Trial to Assess Asthma Exacerbation Phenotypes.
Am J Respir Crit Care Med. 2022 Sep 1;206(5):545-553.
気管支喘息においては、好酸球や呼気一酸化窒素濃度が上昇するType2-highの表現型が多数を占めており、このタイプではType2炎症を標的とした生物学的製剤のいずれにおいても増悪抑制効果や肺機能改善効果が示されています。一方で重症喘息の一部には、Type2-lowの表現型が存在することはこれまで報告されており、喫煙や肥満などの関与が指摘されていますが、そのメカニズムや特徴については十分にわかっていません。また、重症気管支喘息の一部では全身ステロイドが投与されており、Type2炎症が目立たない場合があります。
今回の抄読会では、このようなType2-lowの表現型を示す重症喘息が増悪した場合にどのような特徴を示すのか、また、どのようなことが増悪のリスクファクターとして考えられるのかについて検討した論文を紹介します。