3月23日の抄読会につきまして
医学生の皆様、研修医の皆様、医会員の皆様
皆様におかれましては、大変忙しい日々かと思いますが、今月も抄読会を定期開催させていただきます。
医学生、研修医の皆様にもZoomでの開催のため、お気軽にご参加いただきたいと思っています。
今月の紹介論文をご案内させて頂きます。
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3月23日(水)19:00〜 Zoom形式
1)前橋赤十字病院 神宮 飛鳥
「気管支喘息に対して生物学的製剤を使用している患者様での、コロナワクチン接種後の反応抑制について」
Reduced COVID-19 Vaccine Response in Patients Treated with Biologic Therapies for Asthma. Martin C Runnstom et al; Am J Respir Crit Care Med. 2022 Feb 18.
COVID-19に対するワクチン接種は全世界的に進んでいます。全身性ステロイド投与中の患者様や、関節リウマチで免疫抑制剤、JAK阻害薬投与されている患者様では、接種後の抗ウイルス抗体価の上昇が少ないことが知られています。しかし、重症気管支喘息で生物学的製剤を使用されている患者様で、COVID-19ワクチンの効果を検証された報告は今までありませんでした。今回、生物学的製剤使用中の患者様と健常者で、COVID-19ワクチン接種後の抗ウイルス抗体価を前向きに検証した報告があり、紹介したいと思います。
2)群馬大学医学部附属病院 笠原 礼光
「非入院患者におけるCovid-19の経口治療薬モルヌピラビルについて」
Molnupiravir for Oral Treatment of Covid-19 in Nonhospitalized Patients. Bernal AJ, Silva MM, et al. N Engl J Med. 2022;386(6):509-520.
世界中で蔓延するCovid-19感染に対し、そのリスクを減らす治療薬が求められています。モルヌピラビルはN-hydroxycytidineのリボヌクレオシドアナログであり、ウイルスRNAの配列に変異を導入することでウイルス増殖を阻害する薬です。日本では2021/12/24に特例承認となりました。今後の外来診療において実際にモルヌピラビルを処方する場面も想定されるため、基本的な情報を知っておく必要があるかと思います。
3)群馬大学医学部附属病院 古賀康彦
「上葉有意型間質性肺炎(PPFE)におけるニンテダニブの使用について」
Nintedanib in idiopathic and secondary pleuroparenchymal fibroelastosis
Nasser et al. Orphanet J Rare Dis (2021) 16:419
上葉有意型間質性肺炎(胸膜肺実質線維弾性:PPFE)は、有効な薬物療法を受けていない患者の大多数において、予後不良を伴うさまざまな疾患経過を示すことが知られています。本研究では後ろ向きにPPFEの21人の症例が解析されました。これまでPPFEに対する薬物療法の論文は少ないため、我々呼吸器内科医がPPFEへの治療に困っているのが現状です。今回の論文でニンテダニブのPPFEへの治療可能性を紹介したいと思います。