2025年8月の抄読会

医学生の皆様、研修医の皆様、医会員の皆様

今月の抄読会のご案内です。 医学生、研修医の皆様にもオンラインでの開催のため、お気軽にご参加いただきたいと思っています。 今月の論文紹介をさせていただきます。


====== 8月27日(水)19:00〜 Microsoft Teams形式======

1)群馬大学医学部附属病院  呼吸器・アレルギー内科 櫻井 麗子先生
「リアルワールドデータセットにおける、胸腺上皮性腫瘍の遺伝子学的特徴について」

K. Kurokawa et al. Genomic characterization of thymic epithelial tumors in a real-world dataset. ESMO Open. 2023 Oct;8(5):101627.

胸腺腫は人口10万対0.44~0.68人が罹患する希な疾患であり、胸腺癌はさらに希少癌であり、切除不能・再発症例に対する薬物療法に難儀している現状があります。

包括的ゲノム・プロファイリング(CGP)分析は、標準的な化学療法を完了・または予定である進行した固形腫瘍患者に対し2019年から保険収載され、個別化医療の発展に寄与しており、当院でも2021年6月より導入・ゲノム外来として実施しています。

今回の抄読会では、米国のFMIと日本のC-CATといった2つのデータセンターから胸腺上皮性腫瘍の遺伝子学的特徴について報告した論文を紹介いたします。

2)群馬大学医学部附属病院  呼吸器・アレルギー内科 塙 雅子先生
「COVID-19罹患後の後遺症発症率とワクチン接種回数の関連について」

Yasin Abul, et al. Incidence of Long COVID Diagnoses in 3.6 Million U.S.

Medicare Beneficiaries With COVID-19. The Journals of Gerontology, Series A: Biological Sciences and Medical Sciences, 2025, 80(7), glaf108.

コロナ後遺症(Long COVID)は高齢者のQOL低下を引き起こしたり要介護リスクを高めたりすることがあります。また後遺症の発症リスクは認知症患者や免疫疾患罹患者、既感染者で高率となり、高リスク群の予測ができるほか、ワクチン追加接種を推奨できるという点で、COVID-19が再流行の兆しを見せるなか、日常診療に有用と思われる論文なのでご紹介します。

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