2025年4月の抄読会
医学生の皆様、研修医の皆様、医会員の皆様
今月の抄読会のご案内です。 医学生、研修医の皆様にもオンラインでの開催のため、お気軽にご参加いただきたいと思っています。 今月の論文紹介をさせていただきます。
====== 4月23日(水)19:00〜 Microsoft Teams形式======
1)群馬大学医学部附属病院 呼吸器・アレルギー内科 古賀 康彦先生
「IPFとPPFを対象としたLPA1拮抗薬:アドミルパラントの有効性と安全性」
Efficacy and Safety of Admilparant, an LPA 1 Antagonist, in Pulmonary Fibrosis: A Phase 2 Randomized Clinical Trial.
Corte TJ, Behr J, Cottin V, Glassberg MK, Kreuter M, Martinez FJ, Ogura T, Suda T, Wijsenbeek M, Berkowitz E, Elpers B, Kim S, Watanabe H, Fischer A, Maher TM. Am J Respir Crit Care Med. 2025 Feb;211(2):230-238.
ニンテダニブの登場後、いまだに特発性肺線維症に対する治療薬は、ピルフェニドンとニンテダニブの2剤、進行性肺線維症の治療薬はニンテダニブが唯一の治療薬のままです。特異的PDE4B阻害剤であるネランドミラストが特発性肺線維症及びPPFのいずれに対しても有効性が期待されている一方で、その他の抗線維化薬としてLPA1拮抗薬が開発されてきました。しかしながら、LPA拮抗作用とは無関係な肝胆道系の有害事象によりLPA1拮抗薬の開発が停滞していました。
本研究は、第二世代LPA拮抗薬として開発されたアドミルパラントのIPFとPPFに対する第2相RCTです。本論文が発表されたのちすぐに、Chest誌にもアドミルパラントの有効性を示す姉妹論文がIn Pressとなっています。
今後のIPF、PPF治療の劇的な変革を予感させる結果と思われ、2025年度最初の抄読会でご紹介させていただきます。
2)群馬大学医学部附属病院 呼吸器・アレルギー内科 澤田 友里先生
「成人における原因不明または難治性慢性咳嗽」
Unexplained or Refractory Chronic Cough in Adults
Richard S. Irwin, M.D., and J. Mark Madison, M.D. N Engl J Med. 2025 Mar;392:1203-14
慢性咳嗽はガイドラインの記載のとおり、評価すべき項目が多岐に渡ります。実際の臨床現場では、十分な評価が行えないまま、難治性咳嗽としてP2X3受容体拮抗薬が処方されている可能性も示唆されています。今回の論文では真の難治性咳嗽の原因として咳過敏性に着目し、マルチモーダル言語療法や神経調節薬が選択肢として検討されています。2025年4月に咳嗽・喀痰の診療ガイドラインが改訂されたことを受け、改めて定義や治療選択肢について検討していければと思います。