寒さに負けず、知の交流を ― 11月抄読会のご案内

医学生の皆様、研修医の皆様、医会員の皆様

10月の抄読会へのご参加、誠にありがとうございました。
11月の抄読会についてご案内申し上げます。

寒くなってまいりましたが、今回も オンライン開催 となりますので、医学生や研修医の皆さまも、どうぞお気軽にご参加ください。

診療の合間に、最新の知見や興味深いテーマを共有しながら、学びの時間を持てれば幸いです。
皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

今月は下記の先生方です。

1)渋川医療センター 申 悠樹先生

「肺非結核性抗酸菌症を診断する際の非膿性喀痰の診断的価値について」

Hanaka M, et al. Diagnostic value of nonpurulent sputum in nontuberculous mycobacterial lung disease: A cross-sectional study based on the Miller and Jones classification.

Respiratory Investigation 63(2025) 1287-1292

肺非結核性抗酸菌症の診断には同一の菌が2回喀痰培養で陽性になることが求められます。ただ患者さんの中には喀痰症状に乏しく、なかなか良質な痰が出せずに診断に難渋することがあります。また、せっかく患者さんが頑張って出してくれた痰が唾液様だった際には検査に提出してよいものか悩むことがあるのではないかと思います。今回の抄読会では、肺非結核性抗酸菌症の診断に唾液含有量が多い非膿性喀痰が有用かどうかを検討した論文を紹介します。

2)群馬大学医学部附属病院 澤田 英先生

「睡眠時無呼吸症候群の評価における在宅用睡眠時脳波測定の有効性を確認」

 Jaehoon Seol , Shigeru Chiba , Fusae Kawana , Saki Tsumoto , Minori Masaki , Morie Tominaga , Takashi Amemiya , Akihiro Tani , Tetsuro Hiei , Hiroyuki Yoshimine , Hideaki Kondo & Masashi Yanagisawa

Scientific Reports | (2024) 14:3533 | https://doi.org/10.1038/s41598-024-53827-1

閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、世界で10億人以上と推計されています。日本でも中等症以上の患者だけで900万人以上が罹患していると推定されていますが、睡眠障害の診断に使われる終夜睡眠ポリグラフ(PSG)は年間わずか8万件しか行われていません。なお、PSG検査は医療施設等への入院を必要とするため多大な費用や時間を要し、睡眠時呼吸検知装置による簡易検査は在宅で実施できるものの睡眠脳波が得られないため再度のPSG検査を要するケースが多く、患者の負担を軽減する新たな検査が求められています。

在宅等での遠隔医療で実施可能な睡眠時脳波測定のOSA患者に対する有効性を、PSG検査との同時計測によって評価した論文を紹介させていただきます。

3)公立富岡総合病院  丸澤 幹仁先生
「MET Exon 14 Skipping Mutations を有する非小細胞肺癌におけるテポチニブ」

P .K.Paik, et al. Tepotinib in Non–Small-Cell Lung Cancer

with MET Exon 14 Skipping Mutations.NEJM.2020 Sep 3;383(10):931-943.

MET Exon 14 Skipping Mutationsを有する切除不能な進行・再発非小細胞肺癌の治療薬としてテポチニブが2023年厚生労働省から製造販売承認を受けています。一方、実臨床ではMET Exon 14 Skipping Mutationsを有する非小細胞肺癌の割合は、非小細胞肺癌患者のうちで3~4%と比較的稀な遺伝子変異です。今回の抄読会では、MET Exon 14 Skipping Mutationsを有する切除不能な進行・再発非小細胞肺癌患者に対して、テポチニブ500mg/day投与を行い、液体生検や組織生検によって奏功率を分析し、テポチニブ投与中に出現した副作用と頻度について報告した論文を紹介いたします。