2025年10月の抄読会もお待ちしています
医学生の皆様、研修医の皆様、医会員の皆様
9月の抄読会も多くの先生方にご参加いただきありがとうございました。
引き続き、10月の抄読会についてご案内いたします。
今回も オンライン開催 となりますので、医学生や研修医の皆さまも、ぜひお気軽にご参加ください。
診療の合間に、最新の知見 や 興味深いトピック について情報共有できれば幸いです。
皆さまのご参加を心よりお待ちしております。
====== 10月1日(水)19:00〜 Microsoft Teams形式======
1)桐生厚生総合病院 大澤 翔先生
「非小細胞肺癌における包括的ゲノムプロファイリングの臨床的有用性:全国規模データベースを用いた解析」
Koji Fujii et al. Clinical utility of comprehensive genomic profiling in non-small cell lung cancer: An analysis of a nation-wide database. Lung Cancer. 2025;200:108099.
非小細胞肺癌では、EGFRやALKといった遺伝子異常に基づく分子標的治療がすでに確立しています。こうした背景のもと、包括的ゲノムプロファイリング(CGP)は、従来の検査では検出できなかった遺伝子変異を同定できる可能性があり、治療の選択肢を拡げる技術として期待されています。実臨床での実施頻度はまだ高くありませんが、その意義は徐々に広がりつつあります。本研究は、全国規模のデータベースを用いて、非小細胞肺癌におけるCGPの臨床的有用性を検証したものです。CGPの実臨床における位置づけを再確認できる内容であり、今後の日常診療の一助となると考え紹介させていただきます。
2)公立富岡総合病院 神戸 美欧先生
「慢性閉塞性肺疾患の急性増悪患者における不整脈の有病率とリスク因子:システマティックレビューおよびメタアナリシス」
Ding N, Qiu W, Chen J, Wang K, Chen Z, Cai R, Chen A.「Prevalence and Risk Factors of Arrhythmias in Patients with Acute Exacerbations of Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A Systematic Review and Meta-Analysis」Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2025 Sep 3;20:3059-3072.
本研究は、COPD急性増悪(AECOPD)患者における不整脈の実態を明らかにするために行われたシステマティックレビューおよびメタ解析です。既存の観察研究やRCTを包括的に検索・解析し、有病率や関連する臨床因子、さらに臨床経過との関連性について検討しています。AECOPDにおける循環器系の評価と管理の重要性を再確認させる内容となっており、今回の抄読会で紹介させていただきます。
3)群馬大学医学部附属病院 井上 俊先生
「臨床医のための結核アップデート」
Saskia Janssen, et al. Tuberculosis: An Update for the Clinician. Respirology. 2025;30:196–205
結核診療は依然として世界的な公衆衛生課題であり、近年はサブクリニカル結核の概念や診断技術の進歩、短期化レジメンや耐性結核対策など多方面で大きな変化がみられています。今回の抄読会では、2025年にRespirology誌に掲載されたSaskia Janssenらの「Tuberculosis: An Update for the Clinician」を取り上げ、結核診療の最新動向、特にサブクリニカル結核の重要性、短期化治療や耐性結核接触者への予防療法などについて紹介いたします。