2024年9月の抄読会
医学生の皆様、研修医の皆様、医会員の皆様
今月の抄読会のご案内です。 医学生、研修医の皆様にもオンラインでの開催のため、お気軽にご参加いただきたいと思っています。 今月の紹介論文をさせて頂きます。
====== 9月25日(水)19:00〜 Microsoft Teams形式======
1)群馬大学医学部附属病院 呼吸器・アレルギー内科 澤田 友里先生
「基礎疾患からみたPCPの特徴と予後因子」
Characteristics and Prognosis Factors of Pneumocystis jirovecii Pneumonia According to Underlying Disease: A Retrospective Multicenter Study. Lécuyer R, et al. Chest. 2024 Jun;165(6):1319-1329.
PCP、とくにnon-HIV症例では重症化リスクも高く、ステロイド導入後に発症し当科に相談を受けることも多い疾患です。しかし、免疫不全状態、基礎疾患等が死亡率へどのような影響を与えるかは十分に評価されていません。今回の論文は、PCPの予後因子を評価した多施設後向き観察研究であり、PCPのリスク因子、予防の重要性について改めて検討できればと思い、ご紹介させていただきます。
2)公立富岡総合病院 竹原 和孝先生
「ANCA関連血管炎における肺胞出血について」
Alveolar Hemorrhage in Antineutrophil Cytoplasmic Antibody–Associated Vasculitis Results of an International Randomized Controlled Trial (PEXIVAS). Lynn A. Fussner1. LA Fussner, et al. American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine 209 (9) 1141-1151.
直近1年間で肺胞出血を担当することが多いが, びまん性肺胞出血はやはり救命できないことが多い。血漿交換も1例実施したが、救命できず死亡した。そもそもAAVでも肺胞出血自体には血漿交換の保険適応がない。AAVのガイドラインでも肺胞出血に対する血漿交換の位置づけは最重症ならば考慮してもよいというあいまいな評価にとどまる。しかしながら、RTXもIVCYも即効性がなく、血漿交換以外の策がない現状。そこでAAV-DAHにおける血漿交換を評価した論文を選定した。
3)高崎総合医療センター 小林 夏緒先生
「喘息コントロールの維持療法および緩和療法としてのブデゾニド/ホルモテロールとフルチカゾンフランカルボン酸エステル/ビランテロールの比較」
Comparison of Budesonide/formoterol versus Fluticasone furoate/vilanterol as maintenance and reliever therapy for asthma control: a real-world observational study. Huang WC, et al. BMC Pulm Med. 2024 Aug 1;24(1):374.
ブデゾニド(BUD)/ホルモテロール(FOR)によるMART療法を受けた喘息患者において、急性増悪率の低下と症状コントロールの改善が報告されています。フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)/ビランテロール(VIL)も急速な気管支拡張と持続的な抗炎症効果をもたらしますが、喘息コントロールのための MARTとしてFF/VIL を調査した研究はありませんでした。
今回の抄読会では、FF/VILによるMART療法の効果についての実臨床観察研究を紹介いたします。