2024年4月の抄読会

医学生の皆様、研修医の皆様、医会員の皆様 今月の抄読会のご案内です。 医学生、研修医の皆様にもオンラインでの開催のため、お気軽にご参加いただきたいと思っています。 今月の紹介論文をご案内させて頂きます。


======= 4月24日(水)19:00〜 Microsoft Teams形式======

群馬大学医学部附属病院  櫻井 麗子先生

「非小細胞肺癌におけるドライバー癌遺伝子を見つけるための包括的ゲノム・プロファイリング分析全国データについて」

Masaki Ishida, et al. Nationwide data from comprehensive genomic profiling assays for detecting driver oncogenes in non- small cell lung cancer. Cancer Science. 2024;00:1–9.

包括的ゲノム・プロファイリング(CGP)分析は、標準的な化学療法を完了・または予定である進行した固形腫瘍患者に対し2019年から保険収載され、当院でも2021年6月より導入・ゲノム外来として実施しています。一方非小細胞肺癌では診断時に各種遺伝子変異を検索しその結果をもとに治療導入となるため、他癌種ほど実施数は多くはありません。今回の抄読会では、日本で2019年8月から2022年3月までの間、がん遺伝子パネル検査によって集積されたC-CATデータベースを用いて解析された、診断時には遺伝子変異なしと診断された非小細胞肺癌患者における、新たな遺伝子変異が認められた割合・またその種類について報告した論文を紹介いたします。

群馬大学医学部附属病院  古賀 康彦先生

「生物学的製剤治療中の関節リウマチ患者における間質性肺疾患の発生率」

Incidence of Interstitial Lung Disease in Patients With Rheumatoid Arthritis Treated With Biologic and Targeted Synthetic Disease-Modifying Antirheumatic Drugs
Matthew C. Baker et al., JAMA Netw Open. 2023;6(3)

関節リウマチの治療薬であるMTXやTNFα阻害剤は肺障害、間質性肺炎リスクのある治療薬として広く知られています。最近ではIL-6阻害剤からJAK阻害剤まで関節リウマチに広く使用されるようになってきましたが、これらの肺障害リスクに関する知見は知られていません。本研究では、約3万人の関節リウマチ患者の治療薬毎のILD発症が比較検討されました。その中でJAK阻害剤であるトファシチニブ(ゼルヤンツ)が最もILD発症リスクが低い結果でした。今後のRA-ILD診療の一助になればと思い紹介させて頂きます。