2024年12月の抄読会

医学生の皆様、研修医の皆様、医会員の皆様

今月の抄読会のご案内です。 医学生、研修医の皆様にもオンラインでの開催のため、お気軽にご参加いただきたいと思っています。 今月の論文紹介をさせていただきます。


====== 12月25日(水)19:00〜 Microsoft Teams形式======

1)桐生厚生総合病院 原健太郎先生

「未診断の呼吸器症状を持つ成人における呼吸困難の影響について」

Bierbrier, J et.al  Impact of Dyspnea on Adults With Respiratory Symptoms Without a Defined Diagnosis Chest, 2024 Sep 4; S0012-3692(24)05133

呼吸困難は、呼吸器疾患と診断されている患者さんのみならず、未診断の患者さんでもしばしば見られる症状であり、QOLの低下、日常生活の制限 死亡リスクの上昇につながる重大な臨床症状です。本研究では未診断の呼吸器症状を持つ成人に対してCATや肺機能検査等で評価、診断を行い、呼吸困難の原因やその影響を評価しました。結果としてPRISm(1秒率の保たれた肺機能障害)を有する患者が最も強い影響を報告しており、他の未診断であったCOPDや喘息患者と比較しても高いスコアが示されました。

2)前橋赤十字病院  星野裕紀先生

「がん診断後6ヶ月以内の禁煙で生存利益が最大化」

Cinciripini PM, et al. Survival Outcomes of an Early Intervention Smoking Cessation Treatment After a Cancer Diagnosis. JAMA Oncol. 2024 Oct 31:e244890

癌の診断後に喫煙を続けると、総死亡率や癌死亡率が増加するだけでなく、癌の進行や喫煙関連の二次癌リスクも増えるとされています。喫煙の悪影響は、癌の種類を問わず認められており、これまでの研究でも禁煙すべきことは数多く報告されていますが、禁煙治療に取り組むタイミングが生存利益にもたらす影響の違いは明らかではありませんでした。今回米国テキサス大学MD Andersonセンターで行われた、2006年1月1日から2022年3月3日までの禁煙治療プログラム利用者の前向きコホート研究についての論文を紹介します。