2024年11月の抄読会
医学生の皆様、研修医の皆様、医会員の皆様
今月の抄読会のご案内です。 医学生、研修医の皆様にもオンラインでの開催のため、お気軽にご参加いただきたいと思っています。 今月の論文紹介をさせていただきます。
====== 11月27日(水)19:00〜 Microsoft Teams形式======
1)渋川医療センター 呼吸器内科 申 悠樹先生
「ニューモシスチス肺炎発症予防のための低用量ST合剤(半量)の効果と安全性について」
K. Takeda et al. Efficacy and safety of a low-dose sulfamethoxazole/trimethoprim regimen in preventing pneumocystis pneumonia: A retrospective study using a large-scale electronic medical record database. J Infect Chemother. 2024 Oct 9:S1431-321X(24)00278-2
当科では治療のために一定期間ステロイドの全身投与を行うことは珍しいことではありません。ステロイド全身投与中、ニューモシスチス肺炎の発症予防には通常ST合剤を用いますが、標準用量は1錠/日とされています。ただ皮疹、高K血症などの副作用が出現することが経験されるため、隔日投与にしたり、用量を半分にしたりと投与の仕方を工夫することがあるかと思います。
今回の抄読会では、ST合剤0.5錠/日連日内服によるニューモシスチス肺炎の発症予防効果、副作用について報告した論文を紹介いたします。
2)桐生厚生病院 澤田 英先生
「オレキシンがヒトの睡眠中にエネルギー消費を調節する役割を発見」
Orexin receptor antagonist increases fat oxidation and suppresses protein catabolism during sleep in humans. iScience Volume 27, Issue 7, 19 July 2024, 110212
オレキシンは、摂食行動と覚醒状態の調節に重要な役割を果たす神経ペプチドであり、覚醒中のエネルギー消費にも関与しています。しかし、ヒトのエネルギー代謝調節におけるオレキシンの役割はよく分かっていませんでした。近年、オレキシン受容体拮抗薬が不眠症治療薬として臨床的に用いられるようになり、ヒトでもオレキシンの生理機能が研究できるようになりました。オレキシンが睡眠中および覚醒直後のエネルギー代謝に及ぼす影響について調べた論文をご紹介させていただきます。
3)群馬大学医学部附属病院 呼吸器・アレルギー内科 清水 大輔先生
「慢性閉塞性肺疾患の増悪と2型糖尿病患者におけるGLP‐1 受容体作動薬との関連性 」
Dinah Foer , et al. NAssociation of GLP-1 Receptor Agonists with Chronic Obstructive Pulmonary Disease Exacerbations among Patients with Type 2 Diabetes. American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Volume 208 Number 10 | November 15 2023
慢性閉塞性肺疾患 (COPD) の患者で2型糖尿病などの代謝調節異常がよく見られます。 今回の抄読会では、2012年から2022年までの米国の医療システムにおけるCOPD患者 1,642名を対象にしてGLP‐1RAの使用は、DPP‐4阻害薬およびスルホニル尿素の使用と比較して重度の増悪のリスクが有意に減少し、スルホニル尿素の使用と比較して中等度の増悪のリスクが有意に減少したことについて報告した論文を紹介いたします。