2022年1月26日 抄読会のご参加ありがとうございました

20220127
昨日は、抄読会にご参加いただきました皆様ありがとうございました。
抄読会の内容を振り返らせていただきます。

1) 伊勢崎市民病院の笛木先生からは、電子タバコの喫煙と骨折リスクについての後ろ向き解析の研究を紹介して頂きました。
電子タバコの人体への影響について、まだ知見は乏しいですが紙タバコと骨折についての関連が示唆されています。本研究では、紙タバコに加えて電子タバコの喫煙の既往と骨折リスクについて、サーベイデータから5000人以上の規模で解析されました。
非喫煙者は4500人で電子タバコ群が1000人で、Tableにあるように電子タバコ群の方が圧倒的に若年であるのに、骨折リスクが1.6倍高かったという結果でした。さらにそこに紙タバコ喫煙の既往が加わると、骨折リスクは2.4倍に高まりました。
多くの交絡因子が潜んでいるというリミテーションはありますが、年齢の因子を超えて骨折リスクが高まっている結果には驚かされました。

2)富岡総合病院の原田先生からは、入院を必要とするCOPD急性増悪に対するステロイド使用量(個別化量か固定量か)に関する報告です。
本研究ではステロイド使用量の個別化量決定に、多くの因子(CATスコアやステロイド前治療歴、CRP値や血ガス分析など)から決定される群と40mg/bodyで固定した群で、前向きランダム化試験で124例ずつの登録症例で行われました。
結果は、ステロイド個別化群(PSL>60mg)の方がPSL 40mg固定群よりもCOPD急性増悪の治療失敗率が低いという結果でした(27.6% vs 48.8%, P<0.001)。
COVID-19肺炎に対してもステロイドはデキサメタゾン8mgの固定で良いのかどうか、まだ議論は尽きないところですが実臨床上は個別化して重症化症例にはステロイド量を増やした方が良い印象があります。COPDの急性増悪においてもステロイド量の疑問はなかなか解決が難しいかもしれませんが、ステロイド投与量の個別化治療も考慮に入れてよいのかもしれません。

今月の抄読会も先月に引く続き25名と多くの皆様にご参加いただき、内容的にも新鮮な内容だったり臨床に有意義な研究論文を紹介して頂きました。

来月の抄読会は、2月16日(水)19時~です。(第4週が祭日のため)。