11月30日抄読会につきまして

医学生の皆様、研修医の皆様、医会員の皆様

皆様におかれましては、大変忙しい日々かと思いますが、今月も抄読会を定期開催させていただきます。

医学生、研修医の皆様にもZoomでの開催のため、お気軽にご参加いただきたいと思っています。
今月の紹介論文をご案内させて頂きます。

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1) 桐生厚生総合病院 竹原 和孝先生
「PF-ILDに対するニンテダニブの安全性と忍容性について:INBUILD試験」
Cottin, et al. Safety and tolerability of nintedanib in patients with progressive fibrosing interstitial lung diseases: data from the randomized controlled INBUILD trial. Respiratory Research (2022) 23:85
間質性肺疾患に対して抗線維化薬治療が可能となり10年を超えています。2009年に特発性肺線維症(IPF)に対してピルフェニドンが、2015年からIPFにニンテダニブが使用可能となりました。その後、強皮症肺にニンテダニブが使用できるようになり、とうとう進行線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)に対してニンテダニブが保険適応となりました。
 一方でニンテダニブは下痢や肝障害といった有害事象が多く、実臨床では忍容性が問題となることが多い薬剤でもあります。そのため最近ではreal worldでニンテダニブの有害事象対策に関する研究も多くなってきています。
 今回ご紹介する論文ではINBUILD試験というPF-ILDに対するニンテダニブの有効性を示した臨床試験における有害事象と忍容性に関する検討を行っており、実臨床でニンテダニブを使用される皆様にご活用いただければと思います。

2)前橋赤十字病院 申 悠樹先生
「重症COVID-19肺炎の入院患者に対するステロイドパルス療法について」
Carlo Salvarani, et al. Intravenous methylprednisolone pulses in hospitalised patients with severe COVID-19 pneumonia: a double-blind, randomised, placebo-controlled trial. Eur Respir J. 2022 Oct 20;60(4):2200025.
呼吸不全を伴うCOVID-19に対してステロイド投与が有効であることは数々の論文で示されています。デキサメタゾン6mgを10日間投与する方法が一般的です。ただ患者の重症度によってはステロイドの用量を増やしたり、ステロイドパルス療法を行ったりするケースがあると耳にします。ステロイドパルス療法は強い抗炎症作用を示しますが、COVID-19に対して有効かどうかはこれまでデータがありませんでした。今回は、重症COVID-19に対するステロイドパルス療法の有効性を評価した論文をご紹介します。

3)群馬大学医学部附属病院 神戸 美欧先生
「気管支拡張症患者における大量喀血のリスク因子について」
Ling Luo, et al. A retrospective analysis of risk factors for massive hemoptysis in patients with Bronchiectasis. BMC Pulmonary Medicine (2022) 22:214
気管支拡張症は大量喀血の最も一般的な原因の一つであり、入院の原因ともなることが少なくありません。時には致命的になりうる合併症ですが、気管支拡張症患者における大量喀血のリスクファクターについては現時点ではまだ十分に報告されていません。今回の論文では、気管支拡張症患者における大量喀血の潜在的リスク因子について検討されています。今後の診療のご参考になればと思い、ご紹介させていただきます。