砂長先生の論文紹介です。
この度、当科の砂長先生の論文がCanadian Respiratory Journalにアクセプトされました。おめでとうございます。
Sunaga N, Koga Y, Hachisu Y, Yamaguchi K, Aikawa M, Kasahara N, Miura Y, Tsurumaki H, Yatomi M, Sakurai R, Maeno T, Hisada T.
Role of Neuron-Specific Enolase in the Diagnosis and Disease Monitoring of Sarcoidosis. Can Respir J. 2022 May 26;2022:3726395.
砂長先生からの論文の紹介となります。
「エノラーゼはα、β、γの3種類のサブユニットからなる二量体の解糖系酵素で、そのうちαγ、γγ型は主に神経細胞に存在するため神経特異的エノラーゼ(NSE)と呼ばれています。一方、NSEは赤血球、血小板、リンパ球など非神経細胞にも広く存在しています。血清NSEは小細胞肺癌をはじめとする神経内分泌腫瘍の腫瘍マーカーとして広く知られていますが、慢性腎疾患、クローン病などの非腫瘍性疾患で上昇することや、呼吸器疾患では肺結核の活動性を反映するバイオマーカーであると報告されています(Nam SJ. Korean J Intern Med. 2016;31:694-702)。
サルコイドーシスは原因不明の全身性肉芽腫性疾患であり、その診断にはアンギオテンシン転換酵素(ACE)や可溶性インターロイキン2レセプター(sIL-2R)が用いられますが、いずれも診断や予後予測能が十分とはいえず、より優れた血液バイオマーカーの開発が望まれます。本論文は、血清NSEがサルコイドーシスの診断や病勢予測のための新たなバイオマーカーとなる可能性を示しており、その診断能はACEやsIL-2Rとの併用で更に向上することが示唆されます。特に、全身ステロイド治療歴のある集団において血清NSEの有意な上昇が認められたことから、ステロイド治療を予測するバイオマーカーなのかもしれません。今後の研究により、サルコイドーシスのみならず他の呼吸器疾患における血清NSEの臨床的意義が明らかとなることを願っています。」