抄読会を定期開催

医学生の皆様、研修医の皆様、医会員の皆様

皆様におかれましては、大変忙しい日々かと思いますが、今月も抄読会を定期開催させていただきます。

医学生、研修医の皆様にもZoomでの開催のため、お気軽にご参加いただきたいと思っています。
今月の紹介論文をご案内させて頂きます。

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7月20日(水)19:00〜 Zoom形式

(1)高崎総合医療センター 黒岩裕也

「肺末梢病変の診断における気管支内超音波(EBUS)と仮想気管支鏡ナビゲーション(VBN)を併用した迅速細胞診(ROSE)の影響」

Qi J.C, et al. Impact of rapid on-site evaluation combined with endobronchial ultrasound and virtual bronchoscopic navigation in diagnosing peripheral lung lesions. BMC Pulm Med. 2022 Mar 31;22(1):117. doi:10.1186/s12890-022-01917-z.

気管支鏡で直接描出できないような肺末梢病変がCTで発見されることがよくあります。近年ラジアル型EBUSにより気管支鏡検査の診断成績は向上してきています。結核や肺真菌症などの良性病変と悪性病変との鑑別は不必要な手術を避けるという点で臨床的、また医療経済的にも重要となります。rapid on-site evaluation(ROSE)は気管支鏡検査時の迅速細胞診による予備診断を行い、リアルタイムでの手技方針の検討に役立つとされています。今回肺末梢病変の診断において、EBUSと仮想気管支鏡ナビゲーションと併用したROSEの影響について前向きに検討した報告をご紹介させていただきます。

(2)桐生厚生総合病院 竹原和孝

「PF-ILDに対するニンテダニブの安全性と忍容性について:INBUILD試験」

Cottin et al. Safety and tolerability of nintedanib in patients with progressive fibrosing interstitial lung diseases: data from the randomized controlled INBUILD trial. Respiratory Research (2022) 23:85

間質性肺疾患に対して抗線維化薬治療が可能となり10年を超えています。2009年に特発性肺線維症(IPF)に対してピルフェニドンが、2015年からIPFにニンテダニブが使用可能となりました。その後、強皮症肺にニンテダニブが使用できるようになり、とうとう進行線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)に対してニンテダニブが保険適応となりました。
一方でニンテダニブは下痢や肝障害といった有害事象が多く、実臨床では忍容性が問題となることが多い薬剤でもあります。そのため最近ではreal worldでニンテダニブの有害事象対策に関する研究も多くなってきています。
今回ご紹介する論文ではINBUILD試験というPF-ILDに対するニンテダニブの有効性を示した臨床試験における有害事象と忍容性に関する検討を行っており、実臨床でニンテダニブを使用される皆様にご活用いただければと思います。

(3)群馬大学医学部附属病院 砂長則明

「COVID-19の診断や予後予測のバイオマーカーについて」

Battaglini D, et al. Laboratory Biomarkers for Diagnosis and Prognosis in COVID-19. Front Immunol. 2022 Apr 27;13:857573. doi: 10.3389/fimmu.2022.857573.

最近COVID-19感染者が急激に再増加しており、その要因としてオミクロン株の新系統「BA.5」の広がりが懸念されます。一方、2019年12月にCOVID-19感染者が初めて報告されてから現在まで、様々な診断・治療法が開発され、多くのエビデンスが集積されてきました。その中でも、COVID-19の診断や予後予測のバイオマーカーに関するエビデンスを整理して理解し、重症化リスクの高い症例を早期に見極めて適切に対処することが臨床的に重要です。抄読会では、今後のCOVID-19感染再拡大に備えて、COVID-19の診断及び予後予測バイオマーカーに関する総説論文をご紹介したいと思います。