抄読会へのご参加ありがとうございました

2023年10月25日 抄読会へのご参加、ありがとうございました。
抄読会の内容を振り返らせていただきます

桐生厚生総合病院 澤田 英
「日本のビジネスワーカー10,000人を対象としたインターネット調査から、睡眠とライフスタイル要因が新型コロナウイルス感染症のリスクに与える影響」

Influences of sleep and lifestyle factors on the risk for covid‐19 infections, from internet survey of 10,000 Japanese business workers
Nakashima M, et al. Scientific Rep. 2022 12:19640.

COVID-19感染に及ぼす睡眠週間や生活習慣が及ぼす影響についての研究報告です。
大手温来調査会社のサンプル会員から性別や年代が均等になる様に全国各都道府県から抽出されました。
10339人の対象から10323人が絞られて144人のCOVID感染者と8693人の非感染者の中でSAS陽性282人と非SAS8555人が解析されました。
COVID陽性者で男性の方女性よりもSAS陽性率が高い結果でした。
また8837名中、COVID陽性の144名の中でSASは51名と35.4%がSAS罹患者であった一方で、非感染者の8693名のうちSASは231名、わずか2.7%でした。
結論として、SASはCOVID-19感染と関連しており、COVID-19、SAS、インフルエンザに対してのクロス集計ではSASはインフルエンザ罹患とも関連していました。


桐生厚生総合病院 大澤 翔
「AMOY 9-in-1 パネルの肺癌患者への臨床応用」

Clinical application of the AMOY 9-in-1 panel to lung cancer patients Kei Kunimasa et al. Lung Cancer. 2023 May:179:107190.

肺癌の遺伝子検査に関するAMOY 9in1パネル検査(以下AMOY)とNGSオンコマイン検査(以下NGS)との日本からの比較研究報告です。AMOYはNGSと比べて検査結果がかえって来る時間が早く、サンプル組織量が少なくて済むという利点があります。
本研究では、2019年6月〜2022年8月までのLC-SCRUM-Asiaに登録された症例が後ろ向きに解析されました。
AMOYとNGSで406例の症例があり、解析成功例は347例で、結果が一致したのが325例で一致しなかったのが22例で腺癌が81%でした。
比較した図の中で特徴的だったのは、測定出来なかったのがAMOY1.5%だったのに対してNGSは48例、12.2%と多かった傾向がありました。
NGSで失敗した中でAMOYで測定可能だったのが42例おり、その中でAMOYは、NGSでは検出できなかった創薬可能な変異の42件中10件(23.8%)を検出できました。 検出された変異は次のとおりでした: EGFR L858R (n = 1)、EGFR Ex.20 ins (n = 1)、EGFR G719X および L861Q (n = 1)、HER2 Ex.20 ins (n = 1)、ALK 融合 ( n = 1)、MET ex.14 スキッピング (n = 3)、RET (n = 1)、および ROS1 (n = 1)。
胸水検体ではAMOYの方が検出率が高い傾向があり、TATはAMOYは5日(3-22日)、NGSは22日(11-47日)でした。
AMOYはNGSパネルよりも成功率が高く、所要時間が短く、検出率が高い結果でした。
METはAMOYで、HER2はオンコマインでというふうに、どちら一方しか適応がない変異もあります。したがって、有望なターゲット可能なドライバー変異を見逃さないように注意する必要があります。

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