抄読会へのご参加、ありがとうございました。

20221221 抄読会へご参加いただき、ありがとうございました。

抄読会の内容を振り返らせていただきます。

1)富岡総合病院 原田 航先生からは、潰瘍性大腸炎関連肺疾患の罹患率,特徴,臨床経過,リスク因子についての論文をご紹介いただきました。
 本邦にて563名の潰瘍性大腸炎患者に対する後ろ向き調査にて、潰瘍性大腸炎関連疾患肺疾患(UC-LD)は28人(5.0%)に認められました。気道病変(AD)は11人 、器質化肺炎(OP)は9人、間質性肺炎5人、AD+IP1人、AS+IP1人、胸膜炎1人でした。ADパターンは比較的予後がよく、高齢や結腸切除後の方がADパターンのリスク因子でした。OPパターンは10人中9人薬剤性と考えられました。被疑薬の中止やステロイド治療にて改善がありました。IPパターンは過敏性肺炎パターンが多く、リンパ球優位であり、線維化を伴うものは予後不良であり、高齢はIPパターンのリスク因子であったとの報告をご発表いただきました。

2)前橋赤十字病院 江澤 一真先生からは、ILD患者に対する経気管支肺凍結生検(TBLC)における臨床的に重要な合併症のリスク因子についての論文をご紹介いただきました。
前向き他施設研究にて、フィンランドの2施設で100人対象として行いました。中等度以上の出血は19%、中等度以上の気胸は13%に生じ、臨床的に重症な合併症(中等度~重篤な出血/気胸、90日以内の死亡)は32%に認められました。90日以内の検査に関連した死亡は1%に認められました。多変量解析では、臨床的に重篤な合併症はtraction bronchiectasis scoreの進行、若年(59.5歳以下)、重篤な出血は下葉で有意差を認めました。重篤な気胸は若年、咳嗽の多さで有意差を認めました。経口ステロイドは重篤な合併症、出血で関連する傾向でしたが有意差は認めなかったとの報告をご発表いただきました。

3)群馬大学医学部附属病院 原 健太郎先生からは、IPF急性増悪に対するステロイド早期減量についての論文をご紹介いただきました。
IPFの急性増悪(AE-IPF)に対するステロイドtaperingについてのコンセンサスはなく、本研究では早期の減量と短期的な予後として院内死亡率を検討しました。①3次医療機関8施設(2016~2019年)、②185施設からの行政(医療情報)コホートを対象としまし、①より153人、②より229人を対象とし、早期減量はどちらともよりよい予後を示しました。inverse probability weighting (IPW)後も早期減量はどちらともよりよい予後を示したとの報告をご発表いただきました。

今年も一年、大変お世話になりました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

来月の抄読会は、1月25日(水)19時〜です。よろしくお願いいたします。