抄読会へのご参加、ありがとうございました。

20220525 抄読会にご参加いただき、ありがとうございました。
抄読会の内容を振り返らせていただきます。

1)群馬大学医学部附属病院の宇野先生からは、非重篤、少量喀血に対する一次治療としての気管支動脈塞栓術のランダム化試験についての論文をご紹介頂きました。
気管支動脈塞栓術(BAE)は侵襲性が低く止血効果が高い治療ですが合併症のリスクもあり、中等度異常の喀血では即時の効果、再発率、再発までの期間等より、適応となっております。本試験では、非重篤な症例(3日間で100~200m、軽~中等症にあたる)を対象とし、679人を登録も適格となったのは73人でした。38人が対照群、34人がBAE群として評価され、30日後の再出血率は対照群・BAE群それぞれ、44.7%、11.8%であり、90日後の再出血率は47.4%、14.7%であり、入院での合併率はBAE群で11.8%でした。90日間の再入院率または再出血に対する侵襲的治療はそれぞれの群で25.7%、6.3%でした。合併症は1人重篤例を生じ、全身の梗塞(脊髄・腎・膵梗塞)、不全麻痺を生じるも永続的ではありませんでした。本研究のlimitationは適格症例が抽出された症例の半分以下であり、サンプルサイズが小さいため、リスクを評価するのに確立したパワー不足ではありましたが、非重篤な症例でBAEを検討すべきか考える上での参考となる論文でした。

2)群馬大学医学部附属病院の矢冨先生からは、EGPAの新分類基準についての論文をご紹介頂きました。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は、日本では1998年に改訂された厚生労働省EGPA診断基準が用いられており、海外では米国リウマチ学会(ACR)のEGPA分類基準がEGPAの判定に用いられてきております。日本では診断基準、海外では分類基準との違いがあり、今回2022年2月ACRとEULARにより新たなEGPA分類基準が提唱されましたが、分類基準であることよりEGPA診断には、血管炎の診断が得られていることが前提となっております。組織生検を行うには皮膚生検での診断率が高く、侵襲が少ないことが利点であり。実際群大の症例も皮膚生検で6割血管炎の診断がついているとのことでした。現在の日本の診断基準では、組織診断がなくても診断可能ですが、今回のACRのEGPA分類基準の改訂から、今後の日本の診断基準も改訂検討との情報もいただきました。またEGPAの診断をするにあたってのstrategyも提示いただき、大変参考になりました。

来月の抄読会は、6月22日(水)19時〜です。よろしくお願いいたします。