抄読会へのご参加、ありがとうございました。

2022年6月 22日 抄読会
抄読会へのご参加、ありがとうございました。

20220622 抄読会へご参加いただき、ありがとうございました。
抄読会の内容を振り返らせていただきます。

1)伊勢崎市民病院 豊田先生からは、SLEによる胸水と他の鑑別における、胸水中の抗核抗体陽性および補体価の有用性についての論文をご紹介いただきました。
本論文では59人(SLE16人、それ以外43人)の胸水貯留患者で、SLEによる胸水とその他の病因による胸水を区別する際に、胸水中の様々なバイオマーカー(sRAGE,ADA,IL17A,tumor necrosis factor-α,ANA,C3・C4)を比較検討しました。胸水中の抗核抗体陽性、及び補体価C3・C4低下が特に高い感度・特異度・陰性的中率を示し、SLEを鑑別する際に有用であると示しております。また診断のアルゴリズムも提示いただき、実際そのアルゴリズムに従ってSLEによる胸水と考えられ、SLEと診断・治療により胸水減少を認めた症例についてもご紹介いただきました。

2)群馬大学医学部附属病院の若松先生からは、悪性胸膜中皮腫に対する術中胸腔内温熱化学療法(HITHOC)についての論文をご紹介いただきました。
本研究では、2021年1月までのHITHOCに関する研究の統計的レビューを行い、メタ解析によってHITHOCが統計学的に有意なOS延長効果を示し、さらに組織型別では上皮型で良いこと、また気胸や有害事象、急性腎障害、心筋障害、血栓症などの有害事象があったと報告しています。Limitationとしては、症例数が少ないこと、もともと上皮型で予後が良いこと、メタ解析であり治療の方式が異なること等があげられました。心疾患の合併の原因についての機序や、腎障害の原因として血中へのシスプラチンの移行があるかといったご質問がありました。悪性胸膜中皮腫の治療方針、またHITHOCの具体的な治療法を動画で提示いただき、わかりやすくご発表いただきました。

3)群馬大学医学部附属病院の鶴巻先生からは、重症気管支喘息におけるmepolizumab投与中止vs投与継続について(COMET study)についての論文をご紹介いただきました。
重症気管支喘息に対する生物学的製剤は効果を認める反面、高額であり、患者さんからは生物学的製剤を中止することは可能なのか、中止したらどうなるのかと言った質問を受けることがあるとのことです。本研究では、3年以上投与継続してMepolizumabを投与された重症好酸球性喘息の患者さんをプラセボ群とMepolizumab群に無作為に分けて、初回増悪までの期間を評価したものです。プラセボ群では増悪までの期間の短縮、コントロール悪化、好酸球数の増加等、いずれも有意差を認めました。Limitationとしては、長く投与継続できていた症例が対象であったこと、また12週で差がついておりますがopen labelへのスイッチが可能であることなどがあげられました。他剤ではこのように中止をした場合の結果についてはどうであったかのご質問がありました。また今後検討されている研究についてもご提示いただきました。

来月の抄読会は、7月20日(水)19時〜です。よろしくお願いいたします。