年度末、次の一歩につながる知見をー3月抄読会のご案内ー
3月の抄読会についてご案内申し上げます。
春の訪れを感じるとともに、年度末を迎え何かとご多忙のことと存じますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
今回もオンライン開催を予定しておりますので、ご都合のつく方はぜひお気軽にご参加ください。
日々の診療や研究でお忙しい中とは存じますが、最新の知見や興味深いテーマを共有し、実臨床に還元できる学びを深める機会となれば幸いです。皆さまと活発な意見交換ができますことを、心より楽しみにしております。
====== 3月25日(水)19:00〜 Microsoft Teams形式======
1)群馬大学医学部附属病院 武藤 壮平先生
「気管支拡張症患者に対するDPP-1阻害薬ブレンソカチブの第3相試験」
Chalmers JD, et al. N Engl J Med 2025;392:1569-1581.
ブレンソカチブは、好中球セリンプロテアーゼの活性を担う酵素であるジぺプチジルペプチダーゼ1(DPP-1)を可逆的に阻害する経口薬になります。気管支拡張症の新たな治療法として注目され、米国では2025年8月12日に非嚢胞性線維症性気管支拡張症の治療薬として承認されました。今回はブレンソカチブの第3相試験であるASPEN試験を紹介し、ブレンソカチブ有用性に関して説明致します。
2)渋川医療センター 新井 史人先生
「非小細胞肺がんにおける投与時間別免疫化学療法:無作為化第III相試験」
Zhe Huang, et al. Time-of-day immunochemotherapy in nonsmall cell lung cancer: a randomized phase 3 trial. nature Medicine.2026,Feb. DOI: 10.1038/s41591-025-04181-w
本ランダム化第3相試験(LungTIME-C01試験)では、ドライバー遺伝子変異を有さない未治療の進行期(ステージIIIC〜IV)の非小細胞肺がん(NSCLC)患者210例を、1:1の割合で早期ToD群または後期ToD群に無作為に割り付けました。早期ToD群と後期ToD群は、抗PD-1抗体薬の初回4サイクルを15:00以前または15:00以降に投与するかによって定義されました。
主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)であり、副次評価項目は全生存期間(OS)および客観的奏効率(ORR)でした。中央値28.7か月の追跡期間後、早期ToD群の中央値PFSは11.3か月(95%信頼区間 CI:9.2–13.4)、後期ToD群は5.7か月(95% CI:5.2–6.2)であり、病勢進行のハザード比(HR)は0.40(95% CI:0.29–0.55、P < 0.001)でした。中央値OSは、早期ToD群で28.0か月(95% CI:推定不能–推定不能)、後期ToD群で16.8か月(95% CI:13.7–19.9)であり、死亡のHRは0.42(95% CI:0.29–0.60、P < 0.001)でした。
治療関連有害事象は既知の安全性プロファイルと一致しており、新たな事象は認められませんでした。免疫関連有害事象についても、両群間で有意な差は認められませんでした。初回4サイクルの間、早期ToD群では朝の末梢血中CD8+ T細胞数が増加したのに対し、後期ToD群では減少しました(P < 0.001)。さらに、活性化型(CD38+ HLA-DR+)と疲弊型(TIM-3+PD-1+)のCD8+ T細胞の比率は、早期ToD群の方が高値を示しました(P < 0.001)。
まとめると、本研究は、免疫化学療法を早い時間帯に投与することでPFSおよびOSが大幅に改善し、腫瘍特異的CD8+ T細胞の抗腫瘍活性が高まることを示しています。
投与時間を早めるという低コストで行えることで、PFS、OSの延長を望める結果は、普段の診療にも役に立つと考え、論文を紹介いたします。
3)前橋赤十字病院 吉田 虎士朗先生
「特発性肺線維症に対する吸入トレプロスチニル」
Steven D Nathan, et al. The New England Journal of Medicine. 2026 March 11
間質性肺疾患に伴う肺高血圧症を対象としたINCREAE試験の事後解析で、吸入トレプロスチニルが16週時点でのFVCに関してプラセボよりも有意な効果を示すことが示唆されていました。
今回の抄読会では、特発性肺線維症に対する吸入トレプロスチニル治療の有効性と安全性について検討した第Ⅲ相試験の論文を紹介いたします。

