山口先生の留学中の論文がRheumatologyにアクセプトされました。

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おめでとうございます。

Correlation between B-cell epitope profile and clinical features of anti-MDA5 antibody-positive dermatomyositis. Yamaguchi K, Poland P, Bijoy George T, Saygin D, Moghadam-Kia S, Aggarwal R, Oddis CV, Zhu L, Ascherman DP.

Rheumatology (Oxford). 2024 Jul 1;63(7):2016-2023.

https://academic.oup.com/rheumatology/article-abstract/63/7/2016/7303861?redirectedFrom=fulltext

山口先生から、論文の紹介です。

私はピッツバーグ大学に2年半皮膚筋炎の研究で留学をしていました。今回報告するのは私の留学中に研究していたものの一つになります。<抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎におけるB細胞エピトープと臨床的な関係>を報告しました。特発性炎症性ミオパチー(IIM)は、筋肉や皮膚、関節、肺などの組織に炎症が生じる病気です。抗MDA5抗体は、IIMの一種である皮膚筋炎でよく見られ、この抗体はウイルスに対する免疫応答に関わっています。MDA5抗体を持つ患者は、特に進行が早い間質性肺疾患(RP-ILD)などを発症しやすく、予後が悪いとされています。本研究では、MDA5抗体を持つ患者のB細胞エピトープ、つまり抗体が認識する特定の抗原部分と臨床的特徴との関連性を調べています。これにより、病気の経過を予測する新たなマーカーを発見しようとしています。本研究では、24名の抗MDA5抗体陽性筋炎患者を対象に、B細胞エピトープと臨床的特徴との関連を調査しました。ELISA法を用いてMDA5タンパク質の155アミノ酸からなるサブフラグメントに対する抗体のレベルを測定し、各患者の症状との相関を分析しました。特定のB細胞エピトープ(例:フラグメントA、B、E、Hなど)に対する抗体が、性別、筋肉症状、血管機能異常、間質性肺疾患(ILD)などと関連していました。特に、4名がILDの進行によって死亡しており、これらの患者はフラグメントA(アミノ酸1–155)に対する抗体が他の患者よりも高かったです。また、血管機能異常を伴う患者ではフラグメントB(アミノ酸130–284)およびE(アミノ酸517–671)に対する抗体が高いことがわかりました。これにより、特定のB細胞エピトープに対する抗体レベルが、ILDの進行や死亡と強く関連していることが示されました。今回の研究により抗MDA5抗体陽性患者において病態が異なることの原因の一つを解明することが出来ました。本症例は北米の患者様が中心となっており今後アジアでの検討が必要と感じました。