多様な視点から臨床を捉え直す ― 4月抄読会のご案内 ―

4月の抄読会についてご案内申し上げます。
新年度が始まり、新たな目標をもって取り組まれていることと存じますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

本抄読会では、分野横断的な最新の知見や興味深いテーマを取り上げ、臨床への応用を目指して議論を行います。
今回もオンライン開催ですので、ご都合のつく方はぜひご参加ください。

皆さまと活発な意見交換ができますことを、心より楽しみにしております。


====== 4月22日(水)19:00〜 Microsoft Teams形式======

1) 群馬大学医学部附属病院 呼吸器・アレルギー内科 古賀 康彦先生

Association of Anti-Ro52 Seropositive Interstitial Lung Disease With a Higher Risk of Disease Progression and Mortality

「抗Ro52抗体陽性間質性肺疾患と疾患進行および死亡リスク上昇との関連性」

Ryosuke Imai, et al., Chest. 2025 Oct;168(4):954-966.

膠原病の診断基準を満たさないものの、抗CCP抗体や抗SS-A/B抗体、ANCAなどの自己抗体が陽性となる特発性間質性肺炎(IIP)の患者を日常診療でしばしば経験します。これまでは非特異的な所見として扱い、IIPsとして治療介入や経過観察することが多かったと思います。しかし実臨床では、その後にANCA関連血管炎や関節リウマチなどの膠原病を発症し、結果的にIPAFあるいは膠原病関連ILDとして再分類される症例を少なからず経験してきました。このような背景から、「IIPsやHPと診断されているILDの中にも、将来的に膠原病へ移行するフェノタイプが含まれているのではないか」という問題意識を持っています。

今回紹介する論文は、自己抗体の中でも比較的陽性頻度の高い抗SS-A抗体の一部である抗Ro52抗体に着目し、その臨床的意義を検討したものです。本研究では、抗Ro52抗体陽性のILDはIPAFや膠原病関連ILDの割合が高いだけでなく、ILD進行や死亡のリスクが有意に高いことが示されました(HR 2.10)。抗SS-A抗体陽性例は、一般的に免疫抑制療法への反応性が良好で比較的予後良好という印象を持っていましたが、本研究はその認識を見直す必要性を示唆する内容でした。

自己抗体陽性IIPの位置づけを再考する契機として、本研究を紹介させていただきます。

2)群馬大学医学部附属病院 呼吸器・アレルギー内科 澤田 友里先生

A National Evaluation of Intercostal Chest Drain Removal Strategies

「肋間胸腔ドレーン抜去戦略に関する全国的評価」

Veale N, et al. Chest. 2026 Mar;169(3):849-858.

自然気胸に対する胸腔ドレナージ後のクランプテストやドレーン抜去のタイミング・方法については、統一された見解がなく、担当医の判断に委ねられているのが現状です。本研究では、多施設共同後ろ向き解析により、クランプテストやデジタル空気漏れ検出装置の使用といった抜去戦略が、気胸再発率、再処置の必要性、在院日数に与える影響を検討しています。日常診療で慣習的に行っている手技を改めて見直し、より適切な管理について議論したいと考えています。