古賀康彦先生の論文紹介です
当科の古賀康彦先生が、ご自身がTopic Editorを勤めた Frontiers in PharmacologyのResearch Topic
“Pathophysiological and Clinical Advances in Asthmatic Inflammation from the Nasopharynx to the Peripheral Airway in the Respiratory Tract Systems”
に総説を報告しました。
「Perspectives on the Efficacy of Benralizumab for Treatment of Eosinophilic Granulomatosis With Polyangiitis」
Yasuhiko Koga , Haruka Aoki-Saito, Yosuke Kamide , Makiko Sato, Hiroaki Tsurumaki, Masakiyo Yatomi, Tamotsu Ishizuka and Takeshi Hisada. Front Pharmacol. 2022 Mar 10;13:865318.
古賀先生からの論文の紹介になります。
「EGPAは診断のみならず治療も難しく、EGPAの神経障害にはステロイドが奏効しないことは広く知られています。そのようなEGPA治療にも生物学的製剤が広く使用されるようになってきました。
IL-5抗体製剤であるメポリズマブは重症喘息ならびに好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(以下、EGPA)にも適応があります。一方で、似た作用機序の抗IL-5受容体抗体製剤であるベンラリズマブは重症喘息のみに適応があります。ベンラリズマブの特徴は、近年の創薬で注目を浴びている抗体依存性細胞傷害活性(以下、ADCC活性)を有している点です。ADCC活性により、特異的かつ速やかにIL-5受容体への拮抗作用を発揮して末梢血好酸球数をほぼゼロに維持する効果があります。
そこで本総説では、ステロイド依存性のEGPA患者へのベンラリズマブの有効性と安全性に焦点をあてました。網羅的に検索した過去の文献から合計41人のEGPA患者がベンラリズマブで治療されていました。ベンラリズマブ導入後、経口ステロイドは、80%以上の症例で5mg/日未満に減らされ、40%以上で中止が達成されました。さらに9例(22%)がメポリズマブの前治療を受けており、ベンラリズマブはメポリズマブ不応性EGPAおよび難治性の心臓および神経障害の合併症を有する患者に有効でした。ADCCを介した好酸球の効率的な除去は、ベンラリズマブ治療によるEGPAの寛解率を改善することが期待されました。メポリズマブとベンラリズマブのhead to headのEGPAへの有効性を比較する研究:Phase 3(Mandara)が進行しており、今後の結果が待たれます。」