砂長先生の論文紹介です。
この度、砂長先生の論文がAnti-Cancer Drugsにアクセプトされました。おめでとうございます。
Noriaki Sunaga, Yosuke Miura, Reiko Sakurai, Sohei Ohshima, Shogo Uno, Sohei Muto, Mari Sato, Hiroaki Tsurumaki, Masakiyo Yatomi, Yasuhiko Koga, Yoichi Ohtaki, Toshiteru Nagashima, Naoko Okano, Nobuteru Kubo, Toshitaka Maeno and Takeshi Hisada.
Sustained antitumor response to lenvatinib with weekend-off and alternate-day administration in chemotherapy-refractory thymic carcinoma: a case report
Anti-Cancer Drugs. December 05, 2022
以下、砂長先生からの論文紹介となります。
レンバチニブは国内多施設共同臨床第二相試験であるREMORA試験[1]の結果に基づき2021年3月に切除不能な胸腺癌に対して承認されたマルチキナーゼ阻害薬です。レンバチニブは24mgを開始用量として1日1回内服する薬剤ですが、REMORA試験では全ての対象症例が有害事象により減量に至っており、有害事象の種類や程度に応じた適切な治療マネジメントが重要です。一方で、甲状腺癌や肝細胞癌を対象とした後方視的研究により、レンバチニブ治療開始早期の相対用量強度(Relative Dose Intensity: RDI)が高いと予後が比較的良好となることが示唆されています[2,3]。また、レンバチニブ治療早期のRDIを高めるための工夫として、計画的休薬法であるweekend-off法(1週間のうち5投2休法で投薬)の試みが報告されています[4]。本症例報告では、再発胸腺癌に対してレンバチニブ24mg/日による治療を開始した後に甲状腺機能低下症に伴う倦怠感が出現したため、24mg/日のweekend-off法プロトコルに切り替えたところ、倦怠感が軽減し、約9ヶ月間のweekend-off法継続とともに腫瘍縮小効果が得られました。胸腺癌に対する治療選択肢は未だ少ないことから、胸腺癌に対するレンバチニブ治療早期RDIと予後との関連性や計画的休薬法の有用性に関する検証を含め、今後の研究の発展が期待されます。
砂長則明
References
- Sato J, et al. Lancet Oncol. 21: 843-850, 2020.
- Fukuda N, et al. Endocr J. 68: 639-647, 2021.
- Takahashi A, et al. Anticancer Res. 39: 5149-5156, 2019.
- Iwamoto H, et al. Cancers. 12: 1010, 2020.