抄読会へのご参加ありがとうございました。

2023年7月26日 抄読会へのご参加、ありがとうございました。
抄読会の内容を振り返らせていただきます。

群馬大学医学部附属病院 砂長 則明
「COVID-19感染による自己免疫性疾患発症リスク」

Chang R, et al. Risk of autoimmune diseases in patients with COVID-19: A retrospective cohort study. EClinicalMedicine. 2023 Feb;56:101783

2020年1月〜2021年12月に登録されたCOVIDワクチン未接種かつCOVID19罹患前に自己免疫疾患と診断されていなかった3814479名を対象とした後方視的研究です。その結果、COVID19罹患は様々な自己免疫疾患の発症リスクと関連していました。著者らは、COVID19罹患後の自己免疫疾患の発症に留意する必要性とともに、今後はCOVID19ワクチン接種と自己免疫性疾患発症リスクについても検討が必要と結論づけていました。


公立藤岡総合病院 黒岩裕也
「COPD急性増悪におけるレボフロキサシンの2日間治療と7日間治療の比較RCT

Messous S, et al. Two-day versus seven-day course of levofloxacin in acute COPD exacerbation: a randomized controlled trial. Ther Adv Respir Dis. 2022 Jan-Dec;16:17534666221099729.

COPD急性増悪におけるレボフロキサシンの2日間治療と7日間治療の比較RCTで
2018年2月から2021年1月のチュニジアの多施設のCOPD患者が対象でした。
LVFX2日もしくは7日の治療に加えて、全患者にPSL 40mg 日が5日間投与されました。
LVFX2日群 155名、7日群155名で酸素投与必要が半数でNPPV必要は2-3%でした。ほとんどが2日間の入院加療で済み、その後は外来加療されていました。起因菌では肺炎球菌が最多でした。
LVFX2日群と7日群のPrimary outcomeの治癒率は79.3%と74.2%で非劣勢が証明され、それぞれの群での追加の抗生剤治療が3.2%と1.9%、ICU入室が5.1%と3.2%、死亡率が5.2%と7.1%でいずれも非劣勢が示されました。また、生存期間にも有意差が認められなかった。CRP 5以上のサブグループ解析でも非劣勢が証明されました。
LVFX2日群と7日群を比較して治癒率、追加抗生剤投与の必要性、ICU入室率、無増悪期間、1年死亡率で非劣勢であることが示されました。
抗菌剤の過剰使用や耐性菌を回避するため、抗菌剤の使用期間を短く設定する治療でも有用である可能性が示唆されました。


公立富岡総合病院  竹原和孝
Can transbronchial lung cryobiopsy benefit adaptive treatment strategies in connective tissue disease-associated interstitial lung disease?

Yamakawa et al. BMC Pulmonary Medicine (2023) 23:126

UIPパターンのPF-ILDでは、抗炎症薬か抗線維化薬のいずれの選択が良いか悩むことが多いため、本研究では単施設、後方視のTBLCを受けたCTD-ILDの31例を対象として
TBLC ベースの通常のUIPスコアを使用して、i) 斑状線維化、ii) fibrotic foci、および iii) 蜂巣肺の 3 つの形態学的記述子を評価し、
・UIP
・炎症あるUIP
・UIP+NSIP
・NSIP
に分類しました。
CTD-ILD 患者のうち、3 人は関節リウマチ、2 人は全身性強皮症 、5人が多発性筋炎/皮膚筋炎、ARS症候群が8人、シェーグレン症候群が6人、顕微鏡的多発血管炎が5人でした。 10人の病理学的UIPが証明された患者のうち、3人の患者はUIPの枠組みに加えて顕著な炎症細胞を有しており、ほとんどの患者の肺機能は抗炎症薬で改善しました。 TBLC ベースの UIP スコアが 1 以上の患者 15 名中 6 名 (40%) は追跡調査中に進行性の疾患経過を示し、そのうち 4 名は抗線維化剤の投与を受けました。
これらの結果から、CTD-ILD 患者における TBLC は、特に UIP 様病変が存在する場合に、適切な治療戦略を決定するのに有用でした。 TBLC は、抗炎症薬と抗線維化薬のどちらの薬剤を優先するかを判断するのが難しい場合に役立ち、TBLC からの追加情報は、臨床現場で抗線維化剤による早期介入を検討する際に有益である可能性が示唆されました。